2019年以降に不動産が暴落する3つの理由

いま、不動産の売却について悩む声をよく聞きます。これから不動産は売り時なのか?あるいは、まだ土地・建物を売らないほうがいいのか?

2020年の東京五輪開催を前に、日本国内の景気後退を懸念する声も多いですが、不動産市況は今後どうなるのか?残念ながら、悲観的なシナリオを主張するアナリストも多く、不動産価格は下落・暴落が避けられないという見方も多いようです。

ただ、不動産の相場を「何となく」理解したつもりで行動すると、思わぬ損失を被ることもあります。

なぜ今、不動産の暴落が懸念されているのか。その理由を理解できれば、所有している物件について、自分がどう行動しなければならないか、判断できると思います。

今回は、2019年以降に不動産が暴落すると言われる、3つの理由を解説します。

1.東京五輪前の売り圧力が強い

シンガポールのマンション

現在の不動産バブルは、主に外国勢によって日本の物件が爆買いされた結果生じた価格上昇が要因だと言われています。

事実、数億円する区分所有の部屋が建設後に即完売する事例がいくつもありました。
この不動産バブルが始まったのが2013年以降です。

そして、それから5年が経過した2019年はバブル崩壊、土地・建物の価格暴落の危機に直面していると言われています。

アパート・マンション投資家の方であればご存知かと思いますが、土地・建物の譲渡所得課税は長期と短期の違いで税率が2倍近く違います。
5年以下であれば約30%、5年未満であれば約15%といった具合です。

 国税庁 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

このため、爆買いブームから5年目にあたる2019年以降に物件を売る動きが強くなり、不動産バブル崩壊、土地・建物価格の暴落という憂き目に遭うかもしれないと推察されているのです。
今の時期に購入された物件は、正にその危機に直面しているのかもしれません。

これまでオリンピック需要が終わる2020年問題が話題として多く取り上げられていましたが、投資家サイドから見れば上記のように税率まで考慮した出口戦略が考えられていても全く不思議ではありません。

先述の通り、外国人投資家は2019年という税率が低くなるタイミングで売り抜けるいうという説と、それに関連するもう一つ有名な説があります。
これは北京オリンピックの時に遡ると分かりやすいでしょう。

北京オリンピックが開催されたのは2008年ですが、実はその前年から中国株の下落・暴落は始まっていました。
今がピークと見た投資家の売り抜けによる下落・暴落です。

同時に不動産景気指数も下落する事となりましたが、最悪な事に、その直後にリーマンショックという非常にネガティブな事件が起こります。
結果、中国の各市場は2009年まで暴落・下落傾向が続きました。

こういった動きは恐らく日本でも起こるだろうという見方が強く、早ければ今年2018年中にもその兆候が現れるかもしれません。
金融業界には「経済危機は10年周期で訪れる」という説もあります。

2009年のリーマンショックを経済危機と仮定すれば、2019年に不動産バブルが崩壊、価格が暴落する、という説もあながち否定できません。

2.住宅需要が減退する

マンション

もう一つ2019年問題と言われるものがあります。

世帯数がピークアウトする

2019年問題としては太陽光発電がメディアに取り上げられる事も多いですが、住宅業界では、2019年に世帯数が5306万世帯というピークを迎え、その後減少していく事が2019年問題と呼ばれてきました。
国立社会保障・人口問題研究所による過去の調査の話であり、最新のデータでは少なくとも2023年までは世帯総数は増加すると予測されています。

しかし、近いうちに世帯数の減少が始まるという予測はあながち外れているとも言えません。
確かに最新データでは前回の予想が修正されていますが、既に「親、夫婦、子供」という家族形態は以前から減少傾向にあり、次に減少するのが2021年の核家族世帯となっています。

逆に単身世帯は2030年頃まで増加しますが、人口減少問題からは逃れられず2033年からは減少すると予測されています。
一般世帯総数で見れば2023年まで増加と修正されたものの、核家族と単身以外の世帯の数が減少し続けていることを考えると、2019年問題以前の話とも言えるでしょう。

消費税増税前の駆け込み需要が終了する

マンション

忘れてはならないのが、消費税増税前の駆け込み需要です。
これまでに何度か行われてきた消費税の増税ですが、その都度駆け込み需要が観測されていたため、今回の消費税増税でも高確率でそれは起こると予想されます。

しかしその後が問題です。

実際に消費税の増税が行われるのは2019年10月ですので、基本的に新税率が適用されるのは物件の引き渡しを増税前と後のどちらで行ったのかで変わります。
そのため、2019年10月まで駆け込み需要があるという見方が有力ですが、注文住宅などにおいては2019年4月までの工事請負契約であれば旧税率が適用になるため、業界関係者の間では、早ければ2019年4月以降から駆け込み需要が収束していくのではないかという見方もあります。

3.中古物件の供給数が激増する

低層マンション

空き家対策特別措置法が2015年に施行されている事はご存知かと思います。

空き家が市場に激増する

簡単に言えば、現在の空き家への対策や空き家が増えないようにするための法案ですが、これが逆に不動産所有者の負担となる可能性があります。

現在、この法令に基づいて各自治体での計画策定が進んでいると言われています。
もし既に、放置している空き家物件を所有している場合は注意が必要です。

まず、老朽化や雑草の繁茂により、その物件が人に危険を及ぼす可能性があると判断された場合、まず自治体から助言や指導が行われます。
危険かどうかだけでなく、そもそも空き家を解消したいと考える国や自治体にとっては、最初の忠告というわけです。

もし指導に従わなかった場合、勧告、命令、代執行といった順で徐々に強制力が強まっていきますので、売るにも売れず、かといって解体費用も捻出できないといった場合でも何らかの対処をしなければいけなくなります。
そうすると、タダでもいいから引き取ってほしい、という売り手が続出するのは目に見えています。
膨大な数の空き家が市場に出てくれば、それにつられて一般の不動産は値下がりする可能性は高いでしょう。場合によっては、暴落に結びつく恐れもあるかもしれません。

老朽化マンション

国土交通省がまとめたマンションストック戸数の表を見たことがある方も多いかと思います。
新規分譲マンションの戸数だけでなく、旧耐震基準で建てられたマンションのストック数が年々増え続けるグラフが印象的で、建築や不動産に関わるメディアで度々取り上げられています。

旧耐震基準のものだけでなく、築年数が経過したマンションなどを所有している場合、今後は早急に対策が必要になるかもしれません。

出典:分譲マンションストック戸数(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000058.html

国土交通省のまとめによると、平成25年時点では築50年のマンションが既に1万戸ありましたが、その内、建て替えを実施したものが183件であったとしています。
1棟あたりの戸数を平均30戸だとすると、330棟ほどが築50年以上のマンションで、建て替えは60%ほど終わっている計算になります。

しかし恐ろしいことに、同調査では1万戸だった築50年のマンションは、平成30年には一気に5万戸(3000棟以上)に増加、平成35年には30万戸(21000棟以上)に急増するという緊急事態なのです。

出典:築後30、40、50年超の分譲マンション数(国土交通省)

建物の老朽化が進めば、自ずとマンションに住む人の高齢化も進みます。
「終の棲家として購入した」という声もよく耳にしますし、建て替え決議がなかなか前に進まないのはよく聞く話です。

しかし、「終の棲家」という住人の感情だけに影響された結果ではなく、修繕積立金が足りない、建て替えや大規模修繕に関する知識やスキルを持った人がいない、コンサルタントや専門会社に依頼するにも費用が嵩むなど、実に様々な問題を抱えているため、建て替えを実施したくても話し合いだけで10年かかるというケースも珍しくありません。

建て替えの見通しがあるならまだしも、面倒なものはさっさと手放してしまいたい、という所有者が投げ売りすれば、たちまち価格が暴落してしまう可能性もあります。

負のスパイラルが起こる可能性も

お札にリード

上記までの理由を含め、近いうちに不動産バブル崩壊・暴落のスイッチが入るのではないか。そう懸念する専門家も多いようです。

1990年代の不動産バブル崩壊と市況の暴落を目の当たりにした方はご存知かもしれませんが、日経平均株価が下がり始めたのは1989年でした。
その2年後から地価も下落・暴落を始め、そのまま金融機関の破綻や各企業の破綻へと発展、日本のバブルはあっという間に弾け飛びました。

つまり、上記までに挙げたものも含め、一度スイッチが入ってしまったらもはや誰にも止められない負のスパイラルが起こる可能性は否めないのです。

しかも、一度バブル崩壊を経験している日本ですから、いち早くそれを察知した投資家たちの逃げ足は速いかもしれません。。
前回を超えるスピードで各市場が冷え込み、暴落に結び付く可能性も考えられます。

2019年に何を意識すべきか?

虫眼鏡と電卓

2019年の注目ポイント① 地価の動向

2018の地価公示は3月27日に発表となりましたが、その内容は多くの人にポジティブな印象を与えました。全国平均では、住宅地の地価は10年ぶりに上昇に転じ、商業地及び全用途平均では、地価の変動率は3年連続の上昇となりました。不動産業界にとっては明るいニュースでした。

それでは、2019年はどうなるのか?2019年の地価公示の内容によっては、不動産に対するマインドがずいぶん変わってくるはずです。

2019年の注目ポイント② 消費税増税のインパクト

今回の消費税増税で、景気を大きく左右するほどのインパクトが出るかどうか。税率が変わるのは2019年10月。そのタイミングを控えて世論がどのように動くのかを注目したいところです。景気の冷え込みが顕著に現れると、不動産の市況にも大きな影響が出てくるものと思います。

2019年の注目ポイント③ 金利の動向

もう一つ注視しなければならないのは、金利の動向。アナリストの多くが、2019年はさしあたって金利が大きく上昇する環境にはないと判断しているようですが、日銀の金融政策次第で、展開は大きく変化する可能性を秘めているでしょう。

ポイントとしては、日銀の「国債買い入れ」はいつまで続くのか、ということ。10年もの国債の金利は固定金利に連動します。したがって、日銀の「国債買い入れ」がいつまで続けられるか、が今後の2019年の金利動向にも関係してきます。

2019年不動産暴落 よくある質問

FAQ

Q. 2019年に暴落が起こる可能性がある要因は理解できましたが、過去にも同じような暴落が起きています。このようなことは、2019年のずっと前から分かっていたことだと思います。それが、2019年になったからと言って、急に状況が変わるのか、疑問に思っております。

投資家も馬鹿ではないと思いますので、2019年に限りませんが、暴落のリスクがあることも十分承知のうえで、不動産を購入しているのだと思います。賢い投資家がわざわざ損をするようなことはしないと思いますが、いかがでしょうか。

A. たしかに、2019年不動産暴落シナリオは随分前から叫ばれておりました。ご指摘の通り、当然それに備えて動いてきた投資家も多いかと思います。

たとえば、目端の利く投資家は、人よりも早めに不動産を仕込み、2017年あたりに売り抜ける動きをしていたようです。もちろん短期譲渡になりますので、税金は長期譲渡に比べて高くなりますが、それも見越したうえで売却して、利益確定させたのではないでしょうか。こういう人は当然、損はしません。

ただ、残念ながら、出口のことまでしっかり見通して投資をしている人の割合がどの程度か、把握することは出来ません。正直なところ、みんなが賢い投資家であるとは限りません。むしろ賢い投資家は割合的には少数なのではないでしょうか。大多数の人が、値上がりが顕著になった段階で参加してきたアマチュア投資家の方が多い気がします。

そう考えると、暴落とは言わないまでも、以前のオリンピック開催国でもあったように、一定程度の価格下落は覚悟しておく必要があるのかもしれません。

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2K-online事務局

主に日本国内で活動する投資アドバイザー。宅地建物取引士。税理士法人を母体とするコンサルティングファームにて約10年勤務。相続税対策としての不動産活用と、資産形成のための不動産活用が得意分野。2013年から独立し、クローズドの会員組織(階層別)を設立・運営。