区分ワンルームマンション投資を本気で検証してみた(1)本当に儲かるのか?

今回のテーマは区分ワンルームマンション投資です。最近になって、区分ワンルームマンションを販売している不動産業者さんと情報交換する機会があったのですが、その際に直近の区分ワンルームマンション投資の状況を教えてもらいました。

筆者は「1棟もの」のアパート・マンション投資に比べて、区分マンション投資の知見は少なめなのですが、今回業者さんから話を聞いて、一度しっかりと収支検証して、アパートなどの1棟門もの投資と比較してみようと思い立ちました。

そうしたところ、区分ワンルームマンション投資には、アパート投資には無い特長が見えてきました。今回は、区分ワンルームマンション投資について、基本の情報をまとめたうえで、1棟もののアパート投資との比較、そして区分ワンルームマンション投資ならではのメリットなどをお伝えしたいと思います。

▼区分ワンルームマンション投資 はじめに

実は筆者は、区分ワンルームマンション投資についてはややネガティブでした。筆者のクライアントの多くがレバレッジや規模、投資効率を重視しており、いわゆる「1棟もの」を求める人が多かったことに加え、「1棟もの」の方が区分ワンルームマンション投資よりもの収益性が高い局面が多かったからです。

そんな筆者でしたが、先日、冒頭の業者さんから色々と興味深いお話を伺えたので、一度しっかりと収支検証して、アパートなどの1棟門もの投資と比較してみようと思い立ちました。そうしたところ、区分ワンルームマンション投資には、アパート投資には無い特長が見えてきました。

そこで今回から数回にわたって、不動産投資の基本の情報をまとめたうえで、区分マンション投資と1棟アパート投資との比較を通じて、以下の3点を中心に、区分ワンルームマンション投資ならではのメリットなどをお伝えしたいと思います。

(1)本当に儲かるのか?
(2)他にもっといい投資はないのか?
(3)自分で実践するにはどうしたらいい?

そもそも不動産投資は本当に儲かるのか? 事例は?

筆者は主に首都圏の投資家様からご相談いただくことが多いのですが、うまくいっている投資家さんの投資利回りは、大体以下のような感じに落ち着きます。

首都圏に偏ったごく一部の参考例になりますが、その点はご容赦ください。なお、新築・築浅が多いのは、実は中古が思ったよりも価格が下がらず、新築~築浅の方が投資のメリットが大きかったことが背景にあります。

(1)8%以上 新築木造アパート(一都三県)

新築木造に積極的な銀行はオリックス銀行ですが、金利は2%前後で融資期間は30~35年程度。金額は1億円くらいまでが上限なので、都心は無理ですが、一都三県であれば1棟アパートを購入できます。

また、融資条件次第ですが、地銀で金利1%台で借入できたとすると、もっと結構良いキャッシュフローになります。筆者のクライアントはほぼこのパターンが多く、8.5%の新築物件を1%前後の金利で借りている状況です。(入居者から人気の高いエリアや駅が近くにあれば8.0%くらいまで下げても大丈夫)

(2)7%以上 新築木造アパート(東京23区内の強い駅)

都心のアパート物件になると、土地値が高いので、どうしても1億半ばから2億超の価格帯になってきます。そうすると融資でオリックス銀行は難しくなってきます。

年収が2000万円超で、金融資産が1億円くらいある方であれば、りそな銀行などの都銀に相談してみることも可能だと思います。金利も1%を下回る水準で35年融資が可能になれば、かなり大きなキャッシュフローを得ることができます。また、融資完済後は無担保の土地が残りますので、建て替えをしても十分高い利回りで運用が可能になります。

(3)6.5%以上 築浅RCマンション(一都三県)

融資期間35年が前提となりますが、築7年以内であれば、このくらいの利回りでも利益を上げることができると思います。

出口戦略としては、10年くらい持って、次の買い手の融資期間が最低でも30年以上あるうちに売却すること。そのくらいの期間で売却してしまわないと、次の買い手の融資がどんどん不利になっていくため、徐々に買い手からの指値が厳しくなっていきます。

(4)6.0%以上 新築RCマンション(一都三県)

新築RCマンションの場合、出口で「相続対策」狙いの投資家を相手にできるのが強みです。不動産投資は相続税対策として用いられることが多いのですが、相続対策が必要な方々が最も好むのが「築浅RC」です。

この層の買い手は、通常の投資家目線よりも高い金額で物件を買ってくれるので、キャピタルゲインが出やすいのが特徴です。筆写のクライアントでも、土地から仕入れて、土地・建物総額で4億円くらいで物件を仕上げて、2年程度で5億~6億くらいで販売し、2年で1億近い金額を儲けた方も複数いらっしゃいます。

(参考)区分RCマンション(23区)の場合

区分RCマンションは、エリア・築年数・グレードによって利回りが大きく異なります。同じ23区でも区によって大きく条件が変わりますので、参考にする際は注意が必要です。

実際のリターンはどのくらい?事例紹介

これはあくまでも事例ですが、2016年に新築アパートを仕入れた方の参考値です。上記で言うと、(1)か(2)に該当します。

23区(品川区)だったのですが、当時約2億円で購入したアパートですが、利回りは7.5%くらい。借入金返済後のキャッシュフローは年間平均500万円に上ります。

これを、約5年間保有して、2.2億円(利回り7%弱)で売却しました。

税金計算など、ものすごく簡略化しますが、ざっくりとしたリターンは

A インカムゲイン 年間500万円×5年=約2500万円
B キャピタルゲイン 売却額2.2億円-残債務1.7億円=約5000万円
C 購入時諸経費  約1500万円

あくまでも税引前ではありますが、「A+B-C=約6000万円」のリターンを得ることになります。税金で20%強引かれるとしても、約5000万円のリターンとなります。5年間でこのリターンですから、結構儲かりますよね。

ただし、この規模(2億円)の投資をするためには、年収が高いこと(年収1500万程度)と、自己資金を5000万くらい持っていることが必要です。これは融資が関係するからです。ある程度の年収と資産背景がないと、このクラスの物件は買えないのでその点は注意が必要です。

また、もう少し小粒の物件の事例も結構あって、購入時1.3億、利回り8.5%のアパートを5年くらい保有してから7%強で売却し、3000万円くらいの利益を確定させた事例が数多くあります。ちなみに次の買い手の融資はオリックス銀行を使う方、もしくはキャッシュで買う方が多かったようです。

大体、不動産投資で儲かるイメージは持てましたでしょうか。大事なのは、出来るだけ利回りの高い物件を仕入れて一定期間保有し、高値で売却することです。

(参考)区分RCマンション(23区)の場合

さて、上述の事例は1棟アパートの事例でした。それでは区分マンションの場合はどうでしょうか。区分マンションは、短期売買で物件を回転させていく場合と、10年~20年と時間をかけていく長期投資など、いくつかパターンが分かれます。

あくまでも参考になりますが、筆者のクライアントの事例です。10年前に23区内にある築20年くらいのワンルームマンションを利回り8%くらいで買ったらしいのですが、約10年間ほぼ満室稼働。入れ替わりは1回だけだったそうです。

公庫とオリックス銀行で融資を受けたのですが、残債務が少なくなった段階で繰上げ返済し、今は毎月7万のキャッシュフローを供給してくれる不労所得になりました。

投資リターンに関していうと、当時1000万円弱で購入したのですが、直近2ヶ年の成約事例を参考にすると、1200万円くらいの市場価値になりそうです。そうすると、仮に今現在売却したと仮定すると、10年間の保有で、インカムゲイン累積と、売買差益(キャピタルゲイン)の合計で大体600万円くらいのリターンなるようです。

長期投資を前提とした区分RCマンションのリターンは?

実は今回お伝えしたかった内容の一つが、長期投資を前提とした「区分マンション投資」のリターンです。

区分マンションの長期投資は、法定耐用年数(47年)を超えるような築古マンションの資産価値をどう見るか、によって投資のリターンが大きく変わります。

これまで筆者はRC区分マンションの寿命は47年(長くても60年程度)と見ていましたが、国土交通省では、管理状態がまともなRC区分マンションの寿命は117年と言及しています。

国土交通省「RC造(コンクリート)の寿命に係る既住の研究例」
https://www.mlit.go.jp/common/001014514.pdf

実際に、RC区分マンションが法定耐用年数は47年ではなく、100年以上も稼働し続けるならば、資産価値の評価が大きく変わるので、投資リターンの予測も大きく変わってきます。

※ 細かい点は具体的には別の回で解説する予定です。

参考:世の中の投資物件の利回り

次に参考として、いま市場に出ている投資物件の利回りがどのくらいなのか、不動産投資ポータルサイト「健美家」の統計情報をご紹介します。

出典:収益物件市場動向マンスリーレポート<2022/09>

2022年9月
■ 区分マンション
利回り7.35%( 前期比-0.01ポイント )、価格1,511万円( 前期比+2.03% )
■ 一棟アパート
利回り8.20%( 前期比-0.03ポイント )、価格7,742万円( 前期比+4.58% )
■ 一棟マンション
利回り7.80%( 前期比+0.03ポイント )、価格1億7,148万円( 前期比+3.15% )

こちらの数字はあくまでも平均値であり、エリア・構造・築年数によって指標は大きく変わってきます。

参考:投資物件の利回り 3つの変動要素

大まかにいうと、市場に出ている不動産投資物件の利回りは、エリア、構造、築年数で変わります。

(1)エリア

エリアは利回りに直結します。下記は前述の健美家レポートからの抜粋(1棟木造アパート)ですが、首都圏・東海で指標の数字が低く、北海道・信州北陸では高くなっています。一般的に都市部よりも地方の方が利回りが高くなります。

(2)構造

建物の構造は、「木造」「重量鉄骨」「鉄筋コンクリート(RC)」に大別できます。(融資を考えると、軽量鉄骨はほぼ木造と近い評価になります)

一番利回りが低くなるのが鉄筋コンクリート造、次が重量鉄骨造、最も利回りが高くなるのが木造です。これは、構造によって、建築費が異なることが異なることが要因です。

建築費については、下記のページが一つの参考になります。(あくまでも参考値です)
国税庁HP 地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和3年分用】

(3)築年数

築年数は物件価格に大きく影響を与えます。新築の方が収益性は低く、築古になると収益性が高くなります。

築が古くなるほど利回りが高くなるのは、もちろん経年に伴う劣化が価格に反映されたこともありますが、より大きな影響があるのは、融資期間の問題です。

大まかに言えば、鉄筋コンクリート造は融資期間が長く、逆に木造は融資期間が短くなります。融資期間が短くなると、毎月の融資返済額が大きくなりキャッシュフローが出にくくなります。キャッシュフローが出にくい物件は、価格を下げないとなかなか売れないので、利回りが高くなるのです。

一般的に、融資期間は税法上の法定耐用年数に準拠します。そうすると、新築の木造は融資期間が最長22年、重量鉄骨造は34年、RC造は47年となります。(実際にはRC造でも最長35年くらいが多いようです)

鉄骨造(厚さ3mm以下) 19年
木造 22年
鉄骨造(厚さ3mm超4mm以下) 27年
鉄骨造(厚さ4mm超) 34年
RC造 47年

不動産投資の失敗事例を知る

次に、不動産投資の失敗についてお伝えします。筆者は職業柄、失敗した投資家さんからの相談を受けることもあります。

ちなみに不動産投資で取り返しが付かない失敗の多くは物件選び・物件購入の段階で発生します。ここでは、筆者が実際に相談を受けた事例を少しだけ紹介します。

区分マンションでキャッシュアウト

一例目は、儲からない区分マンションを大量に買ってしまったケース。この方は国内大手企業にお勤めの方。聞けば誰もが知っている会社で、重役手前のポジション。海外にもよく出張されるエリート会社員でした。

異変が起きたのは、会社に係ってきた電話営業。投資用区分マンションの販売だったのですが、福岡、東京を中心に新築区分マンションを紹介されたそうです。この方、属性がいいため、融資は簡単に通ります。そのため、気が付けば10室以上の区分マンションを所有するに至りました。

問題は、買ってしまった物件。いずれも新築マンションだったのですが、いずれも利回りは低水準。相談を受けた時点では、家賃収入に対して、融資返済額が大きく、キャッシュフローはプラスマイナス・ゼロの状態。さらに悪いことに、いくつかの物件で退去が出てしまい、次の入居者が決まらない事態が続き、毎月30万超のキャッシュアウトが常態化してしまいました。

そんな物件ならば売却するのが吉ですが、残念ながら物件の評価が低く、売却代金で残債務を返済することも出来ない状態。大きな損切を覚悟しなければならない状況でしたが、キャッシュアウトが長く続いたため、貯蓄も乏しい状況。「このままいけば自己破産か・・・」という状況でご相談にいらっしゃいました。

ここでのポイントは、「キャッシュアウトする物件を選んだこと」と「安値でしか売れない物件を選んだこと」。いずれも物件の選び方としては大失敗です。

ちなみに、この方の場合は、超高利回り物件を取得してキャッシュアウトを軽減させ、残債務の返済を継続。ある程度、売却予想額と残債務が釣り合ってきた時点で売却。最終的には10年弱をかけて不採算物件を売却し、定年退職とほぼ同時期に、無事に不動産投資の出口を迎えました。力業ですが、何とか収まってほっとしたご相談でした。

難あり中古RCマンション

二例目は、難あり中古RCマンションの購入。これは正確に言えば、購入直前でストップをかけられたので、ギリギリ失敗にはなりませんが、結構危ういところでした。

「難あり」のポイントは、都内の物件ではありますが築30年弱で利回り6.5%という低収益物件であり、かつそれほど便利と言えない立地で地下1階部分が事務所という仕様。おまけに最上階がオーナー居住仕様(ワンフロアすべてオーナー居住、106平米)

ちなみに全14室で、3室空きの状態で、満室想定だと表面利回り7.5%ですが、それでも低水準です。これで地下の事務所と最上階の広い部屋が空室になると、一気にキャッシュフローが悪化します。

これでよく買う気になったなと思うのですが、驚くべきことに、業者が出してきた収支シミュレーションでは、月々30万円弱のキャッシュフローが入ってくる試算になっていました。

このカラクリは、融資条件の設定と支出の甘い見積もり。

融資条件は、金利1%弱、25年融資を見込んでおり、普通に考えてかなりハードルの高い試算。さらに、満室時想定の試算なので、現状3室空きのままであればプラスマイナスゼロです。経費の見立ても概算でしか出しておらず、さらに大規模修繕も未済。

ここでのポイントは以下の通り。
「築30年弱の中古で利回り6%台は論外(7%台も論外)」
「思わしくない立地での店舗・事務所は要注意」
「バラ色の融資条件につられてはいけない」
「無駄に広い部屋は客付けしにくく、空室リスクが高い」
「大規模修繕未済の建物は要注意」

このご相談者様の場合は、買付を入れていたものの、契約前にアドバイスできたため、相当揉めたそうですが、キャンセルできたそうです。裏話として、業者の心理的圧迫もあくどい手法でひどかったのですが、この点は別の機会に解説します。

不動産投資は本当に儲かるのか? まとめ

以上、今回は不動産投資は本当に儲かるのか、という視点から実例を交えながら解説しました。少しデフォルメしていますが、リアルな数字をご紹介したのですが、参考になりましたでしょうか。

次回は、不動産投資、特に区分マンション投資を他の投資と比較しながら、その特徴、メリットデメリットを解説していきたいと思います。

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2K-online事務局

主に日本国内で活動する投資アドバイザー。宅地建物取引士。税理士法人を母体とするコンサルティングファームにて約10年勤務。相続税対策としての不動産活用と、資産形成のための不動産活用が得意分野。2013年から独立し、クローズドの会員組織(階層別)を設立・運営。