フルローンを出すにはどうしたらいいですか?|不動産投資100問100答(15)【2026年版】
筆者の不動産投資のコンサルタントとしての体験から、よくある質問に簡潔に答えていく「不動産投資100問100答」シリーズ。今回は第15回として、不動産投資の融資について取り上げます。
今回の質問は「フルローンを出すにはどうしたらいいですか?」というものです。
フルローンとは
頭金を入れずに物件価格の全額を金融機関からローンで借り入れてまかなうことをいいます。
フルローンで不動産投資を実践できると投資の効率性が高いので、多くの方がフルローンを望みます。しかし、借入額が多くなるのでリスクが多くなるほか、金融機関の審査目線も厳しくなります。
2026年の融資環境
特に不動産投資への融資引き締めが強くなってきた昨今、フルローンを受けられるケースは非常に限られてきました。
- 自己資金20~30%が標準的
- フルローンは極めて例外的
- 金利も2.0~2.5%に上昇
- 融資期間も短縮傾向
どうやったらフルローンを引き出すことができるのか、ハードルは高いですが、筆者のクライアントの事例を交えながら検証したいと思います。
不動産投資とフルローンの実例(ひと昔前の話ですが)
不動産投資でフルローンを希望する人はとても多いのですが、ハードルはかなり高いです。確かに昔はフルローンもありましたが、最近ではフルローンやオーバーローンの話はすっかり聞かなくなりました。
過去のフルローン事例
個別の銀行名は伏せますが、実はひと昔前はフルローンで物件に融資してくれる銀行さんが確かにありました。
収益還元評価の時代
さかのぼれば、某都銀で「収益還元評価」がもてはやされた頃、条件に合う物件を用意すればフルローンを受けられました。フルローン狙いで投資家たちが競って物件を探していました。
リーマンショック後
リーマンショックの影響で物件価格が大分下がっていた頃、積算評価と収益性を両立するような物件が稀にありましたが、そういう物件がフルローンの対象となりました。
某地銀は積算評価が高く、かつ利回りが10%を超える水準の中古鉄筋コンクリート造マンションにフルローンを出していました。(※今ではそんな物件はお目にかかれないですが)
木造新築アパートのフルローン
某地銀は、ある程度利回りの高い木造新築アパートにフルローンを出していました。この時は、担保評価が割れやすいので資産バランスを保てること(かなりの金融資産を所有すること)が求められました。
金融資産重視型
某都銀は金融資産をある程度(物件購入後に最低5000万円)持っている投資家を対象に、金利を「10年固定」にすることでフルローンを提供していました。
このほかにも、特定の不動産業者(開発業者)と提携した地銀・信金が、通常より有利な条件の融資を取り扱うことはよくありました。
そのような時期を経て、実際に筆者のクライアントの多くがフルローンで融資を受けています。
2026年現在の状況
しかし、今はそんな話はほとんど聞きません。物件自体の利回りが大分下がったこともありますが、大きいのは銀行の融資姿勢です。
融資環境が厳しくなった理由
- 不動産投資への風当たりが強くなった
- 不動産投資を巡る不祥事(不正融資問題等)
- スルガ銀行の不正融資問題(2018年)
- レオパレス問題(施工不良・家賃保証問題)
- 金利上昇局面での貸し倒れリスク増大
そのため、筆者の周りでもフルローンで不動産投資を行う人はごく少数となりました。
2026年版:銀行からフルローンを引き出すには?
さて、そのような環境を踏まえて、どうやったらフルローンを引き出せるのか。まず一般的な考え方を整理してみましょう。
フルローンを引き出すための条件
1. 強固な信用力の確立
- 信用スコアの向上(過去の借入、クレジットカードの延滞なし)
- 安定した収入の証明(長期勤務、高年収)
- 既存借入の適切な管理
2. 魅力的な物件選定
- 収益性の高い物件(高利回り、賃貸需要の高いエリア)
- 担保価値の高い物件(積算評価が出る物件)
- キャッシュフローがプラスになる計画
3. 詳細なビジネスプランの作成
- 投資計画の詳細化(購入価格、リフォーム費用、運営費用、予想収益)
- シミュレーションの実施(金利上昇、賃貸需要変動への対応)
- リスク管理策の明示
4. 銀行との関係構築
- 複数の銀行にアプローチ
- 事前相談と準備
- 既存融資銀行との関係強化
これらは一般的な考え方ですが、実際のところ具体的に何をすればよいのか、ピンと来ない方も多いと思います。
一部の例外を除き、そもそもフルローンを引き出すのはかなり難易度が高い行為です。以下では、筆者の体験した事例をもとに、もう少し具体的な話をしていきます。
不動産投資とフルローン 結論は資産バランス「共同担保」と「金融資産」
筆者の直近2年くらいの事例の話をします。
まず前提として、ほとんどのケースでフルローンは難しいと思います。前述の通り、ひと昔前は、フルローンで不動産投資を始めるのが流行りでしたが、諸々の問題(不正融資等)が起こったほか、物件が高騰し銀行の目線も厳しくなったことから、積極的にフルローンを扱う銀行はほぼなくなりました。
そんな中、どうやったらフルローンを引き出せるかと聞かれれば、筆者は「共同担保」と「金融資産」が有効ですと回答します。
共同担保
「共同担保」とは、1つの債権(融資)の担保として複数の物(不動産)に担保権(抵当権)を設定することです。特に不動産投資では、購入物件の担保評価が足りないときに、他の不動産でそれを補う目的で共同担保が使われます。
共同担保の実例(2年前)
1棟モノの新築アパートを買う際に、無借金の区分マンションを共同担保に入れたことがあったのですが、ほぼフルローンになりました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 購入物件 | 新築木造アパート(物件価格1億円) |
| 共同担保 | 無借金の区分マンション(評価額3000万円) |
| 融資額 | 9500万円(ほぼフルローン) |
| 自己資金 | 500万円(諸費用込み) |
金融資産
「金融資産」は現金や預貯金、株式、投資信託などが該当しますが、この金融資産をどれだけ持っているかが、審査上重要な意味を持ちます。これは資産バランスの維持という意味合いが大きいです。
というのも、多くの場合で物件を買うと借り手の資産バランスは悪化します。それを補うのに、他の資産をどれくらい持っているかが審査上重要となります。
極論
物件をキャッシュで買えるような属性の人には銀行はフルローンでも貸してくれます。
筆者の周りの実例で言うと、最近フルローンを受けられたのは「地主さん」と「会社経営者」です。
地主さん・会社経営者の資産背景
- 金融資産が数億円
- 他に不動産も保有
- 既存借入は少額(いつでも返済可能)
- 年収もかなり高い水準
2026年の最新事例
経営者(金融業)のケース
直近の実例を挙げると、筆者のクライアントで経営者(金融業)の方がいるのですが、その方が1棟モノのRCマンションを買うことになりました。
- 本人は「金利を払うのはもったいない」という考え
- 物件価格の7割くらいしか借りるつもりがなかった
- しかし、圧倒的な金融資産があるため、銀行が頭を下げてフルローンをお願いしてきた
- 実際には8割融資で落ち着いた
- 本人が望めばいつでも追加融資してくれる状況
やはり金融資産・資産背景は強いなと改めて感じた次第です。
提携ローン付の物件ならフルローンもあり得る
前述の「共同担保」や「金融資産」でカバーできるのは、一部の方に限られると思います。率直なところ、一般の方がフルローンで不動産投資をするのはほぼ無理です。ただ、例外があります。不動産業者と銀行が提携ローンを用意している場合です。
提携ローンとは
不動産投資セミナーで「自己資金ゼロでもできる」などの謳い文句で集客しているものがありますが、おそらくこのパターンです。
提携ローンの特徴
- いわゆるパッケージ型
- 条件に合う顧客がいれば、自動的にフルローンが出る仕組み
- 多くはワンルームマンション投資で売主物件を購入する際に使われる
- 不動産業者と銀行が提携
金融資産も共同担保もない状況でも何とか不動産投資を始めたいという方は、提携ローンを用意している不動産業者を通じて物件購入を検討することになると思います。
注意点
ただ、総じて収益性は高くないと思いますので、どの時点で利益確定させるのか、出口の見通しなどもきちんと検証していただきたいところです。
一棟アパートの提携ローン
余談ですが、一棟アパートでも、このようなパッケージ、あるいはパッケージに近い状況になっていた業者・銀行の組合わせがありました。しかし、残念ながら不正融資問題も絡んだことがあり、今ではほとんど見かけなくなりました。
物件さえ悪くなければ、投資の仕組みとしては便利だと筆者は思っているので、どこかのタイミングでまたこのようなパッケージ商品が出てこないかと期待しているところです。
総括:フルローンを出すにはどうしたらいいですか?【2026年版】
結論
過去と現在
- 昔はフルローンが出た時期もあったが、2026年現在は極めて厳しい
- フルローンを引き出せるのは、金融資産が潤沢な人、共同担保を差し出せる人に限られる
どうしてもフルローンにこだわる場合
- 提携ローン付の物件を探すこと
- 特にワンルームマンションでよく見られる
- ただし、収益性は低い傾向がある
現実的な戦略
- 区分マンション投資であれば、提携ローンでもよい
- 一棟マンションや一棟アパート投資を志向する場合は9割融資を前提とする方が無難
- ある程度使える自己資金を蓄えてから不動産投資を検討すること
2026年の融資環境まとめ
| 項目 | 2015~2017年頃 | 2026年現在 |
|---|---|---|
| フルローン | 比較的容易 | 極めて困難 |
| 自己資金比率 | 0~10% | 20~30% |
| 金利 | 0.5~1.5% | 2.0~2.5% |
| 融資期間 | 30~35年 | 20~30年 |
| 審査 | 比較的緩い | 厳格 |
最後に
2026年現在、フルローンで不動産投資を始めることは非常に困難です。しかし、それは決して不動産投資そのものが否定されているわけではありません。
むしろ、自己資金を一定程度用意して、健全な資産バランスを保ちながら不動産投資を行うことが推奨されていると考えるべきです。
フルローンにこだわるあまり、収益性の低い物件を掴んでしまったり、提携ローンの罠にはまったりすることのないよう、慎重に検討してください。
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※本記事は2026年2月時点の情報に基づいて作成しています。融資環境、金利、審査基準などは変化する可能性がありますので、実際の判断においては、最新の情報を確認し、専門家にご相談ください。
2K-online事務局
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