台風被害が不安です。不動産を持っても大丈夫でしょうか|不動産投資100問100答(16)【2026年版】





台風被害が不安です。不動産を持っても大丈夫でしょうか|不動産投資100問100答(16)【2026年版】

台風被害が不安です。不動産を持っても大丈夫でしょうか|不動産投資100問100答(16)【2026年版】

筆者の不動産投資のコンサルタントとしての体験から、よくある質問に簡潔に答えていく「不動産投資100問100答」シリーズ。今回は第16回として、不動産投資と災害リスクについて取り上げます。

今回の質問は「台風被害が不安です。不動産を持っても大丈夫でしょうか」というものです。

2026年の災害リスクを取り巻く状況

昨今、気候変動の影響がますます顕著になり、大型台風や豪雨による被害が多発しています。2024年には記録的な豪雨が全国各地を襲い、2025年も複数の大型台風が日本列島を直撃しました。こうした中で、不動産を所有することに不安を感じる方が確実に増えています。

気象庁のデータによると、近年の傾向として以下の変化が見られます。

  • 台風の大型化(過去最大級の台風が増加)
  • 線状降水帯による集中豪雨の頻発
  • 「これまで経験したことのない」レベルの災害の常態化
  • 従来は安全とされていた地域での水害発生

統計によると、台風は年間で約25個発生し、約3~5個が日本に上陸しているそうです。さらに、上陸しなくても接近するだけで大きな被害をもたらすケースが増えています。日本で物件を持つ以上、台風による災害リスクは避けることができません。

2026年現在の保険を取り巻く環境

  • 水災リスクの高まりにより保険料が全国的に上昇
  • 一部の高リスク地域では保険加入が困難に
  • 損害保険会社の支払い件数・金額が過去最高水準
  • 保険料は今後も上昇が見込まれる

そこで今回は、2026年の最新状況を踏まえて、特に台風被害について注目し、リスクヘッジの方法、考え方について解説してみたいと思います。

台風被害のリスクヘッジ:保険による対策

台風による災害リスクについては損害保険である程度はカバーできます。損害保険では「水災」と「風災」の補償を付けることによってリスクヘッジが可能です。以下、そのあたりの情報をまとめていきます。

(1)水災の補償:大雨の浸水被害だけではない広範な補償範囲

水災は、損害保険の契約時に「水災不担保」という特約を付けることが出来ることがあり、不担保にした場合、大幅に保険料を安くすることが出来ます。

2026年現在の水災補償の状況

  • 水災リスクの高まりにより、保険料が2020年比で20~40%上昇
  • ハザードマップで高リスクとされる地域では、保険料がさらに高い
  • 一部の保険会社では高リスク地域の新規引受を制限
  • 既契約者も更新時に大幅な保険料アップの可能性

コストに厳しい方の中には、ハザードマップで水災のリスクを確認したうえで水災補償を外す方もいらっしゃいます。しかし、2026年の状況を踏まえると、余程の理由がない限り、水災補償は付けておいた方が良いと筆者は強く思います。

元々、筆者は保険料を切り詰めるよりもリスクヘッジを重視する考え方なので、よほど水災のリスクがないエリア以外は必ず水災の補償も付けます。それは、以下のような理由です。

理由1:被害額が甚大で経営破綻のリスクがある

一度水災が発生すると、被害額がとんでもない金額になるからです。また、水災補償はいわゆる浸水被害だけではありません。

水災被害の実例(2024~2025年)

  • 1階部分が完全水没:修繕費500~1000万円
  • 土砂の流入:除去費用100~300万円
  • 電気設備の水没:交換費用200~500万円
  • 入居者への損害賠償:数百万円~
  • 営業損失(家賃収入ゼロ):数ヶ月~1年以上

2026年の重要ポイント

近年、「想定外」の水害が頻発しており、ハザードマップで安全とされていた地域でも被害が発生しています。2025年の豪雨では、「ここは大丈夫」と思われていた高台の物件でも土砂災害に巻き込まれるケースが複数報告されました。

理由2:土砂災害は水災補償の適用範囲

仮に高台にある物件であったとしても、大雨で土砂災害に巻き込まれることがあります。大雨による土砂災害は「水災」と判断されるので、もし水災不担保だと、保険金が下りなくなってしまいます。

土砂災害の増加傾向(2026年)

  • 線状降水帯による記録的豪雨の増加
  • 従来は安全とされていた山沿いの住宅地での被害
  • 盛土の崩壊による被害(2021年の熱海土石流以降、問題視)
  • 斜面の崩壊による建物の損壊

土砂災害警戒区域に指定されている地域の物件は特に注意が必要ですが、指定外の地域でも油断はできません。

理由3:都市型水害のリスクが年々増加

また、河川が近くになかったとしても「都市型水害」に巻き込まれることがあります。都市型水害とは、地表がアスファルトやコンクリートで覆われた人口密集地特有の水害です。

集中豪雨の際、雨水が地表から地下に浸透しないため、埋設されている下水管、雨水管などに一気に水が集まり、その処理能力を超えることにより地表部に水が噴き出したり、排水用の河川が氾濫することにより発生します。

2024~2025年の都市型水害の事例

  • 東京都内の低地での内水氾濫(下水道の処理能力超過)
  • 地下駐車場・地下室への浸水被害
  • アンダーパス(道路の立体交差部)の冠水
  • マンホールから水が逆流

意外と都市型水害の被害額も大きくなるので、出来ればリスクヘッジしておきたいところです。特に、都心部や地方都市の市街地でも発生するため、「うちは川から遠いから大丈夫」という考えは危険です。

理由4:気候変動による「想定外」の常態化

2026年現在、最も重要な点は、従来の常識が通用しなくなっているということです。

「想定外」の事例(2024~2025年)

  • 100年にA度の豪雨が2年連続で発生
  • ハザードマップの想定を超える水位
  • 従来は安全とされていた地域での突発的な水害
  • 複数の災害の同時発生(台風+豪雨+高潮)

このように、水災補償がカバーする範囲は広く、かつリスクは年々高まっているため、保険料は高くなっていますが、水災補償は担保しておくことが強く推奨されます

水災補償を外していいケース(極めて限定的)

  • 高台で、土砂災害警戒区域外
  • 河川から十分に離れている(1km以上)
  • ハザードマップで水害リスクがゼロと確認
  • 過去100年間でA度も水害が発生していない地域
  • 予算的に本当に厳しく、他の選択肢がない

ただし、上記の条件を満たしていても、近年は「想定外」が起きているため、可能な限り水災補償は付けることを強く推奨します。

(2)風災の補償:免責金額の設定と保険料のバランスを考える

風災による被害も損害保険でリスクヘッジが可能です。注意点としては、風災の補償に関する免責金額です。風災は「エクセス方式」がデフォルト設定されていることが多いようです。

エクセス方式とは

損害保険において、損害額が免責金額を超えた場合に超過した損害額のみ補償する方式のことで、損害額が免責金額を下回る場合は保険金の支払いがありません。

免責金額保険料(年間)補償範囲おすすめ度
エクセス20万円安い20万円超の損害のみ
エクセス10万円やや安い10万円超の損害のみ
エクセス5万円標準5万円超の損害のみ
免責なし高い全額補償◎◎

筆者が昔調べたときには、エクセス10万円くらいで設定されているものが多かったように記憶していますが、2026年現在は保険会社によって設定が様々です。

10万円というのは微妙なところで、細かい損害の修理・補修は零れ落ちます。もちろん、本来的な保険の役割は再起不能な損害を被った時に、損害を肩代わりしてもらって経営の立て直しを図ることだと思っています。

しかし、実際には10万円未満の風災被害が頻発します。

被害内容修繕費用免責10万円の場合免責なしの場合
窓ガラス1枚破損5万円全額自己負担全額補償
雨どい破損8万円全額自己負担全額補償
屋根瓦飛散(一部)15万円5万円補償全額補償
外壁損傷30万円20万円補償全額補償

保険料が過度に高くならないようであれば、免責を無くすか、エクセス方式ではない免責方法(フランチャイズ方式)を選ぶ方が安心だと思います。

2026年のおすすめ設定

  • 予算に余裕がある:免責なし(保険料は高いが安心)
  • バランス重視:エクセス5万円(小さな被害もある程度カバー)
  • コスト重視:エクセス10万円(最低限のリスクヘッジ)

筆者の推奨は、可能であれば免責なし、難しければエクセス5万円までです。年間数万円の保険料差で大きな安心が得られます。

立地選定による災害リスク軽減

保険でリスクヘッジすることは重要ですが、そもそも災害リスクの低い物件を選ぶことも重要です。

リスクの低い立地の特徴

おすすめの立地条件(災害リスク軽減の観点)

  • 高台に位置している(標高が高い)
  • 河川から十分に離れている(1km以上)
  • 土砂災害警戒区域外
  • 地盤が固い(液状化リスクが低い)
  • 過去に災害の記録がない
  • ハザードマップでリスクが低いと確認されている
  • 周囲に防災インフラが整備されている

避けるべき立地

ハイリスクな立地(2026年版)

  • 低地・窪地・谷底
  • 河川沿い・海岸沿い
  • 土砂災害警戒区域内
  • 埋立地(液状化リスク)
  • 過去に水害の記録がある地域
  • 急傾斜地の下
  • 排水路や水路の近く

台風被害の不安:自分自身のリスク許容度を理解すること

台風による災害リスクについては、完璧な予防・リスクヘッジは無理です。そのため、もし台風や地震など、天災によるリスクを大きく恐れている人は、あまり不動産投資に手を出さないほうが良いと筆者は思います。

メンタル面のリスク許容度が重要

物件の近くに台風が来たり、少し大きな地震が来る度に大きなストレスを感じることになります。もちろん、オーナーである以上は、その程度のストレスは皆さん抱えていますが、軽いパニックになる人も中にはいらっしゃいます。

災害時にオーナーが感じるストレス

  • 物件の被害状況が分からない不安
  • 入居者の安否確認
  • 修繕業者の手配
  • 保険会社への連絡・手続き
  • 資金繰りの心配
  • 入居者からのクレーム対応

近年は災害が頻発しているため、このようなストレスを感じる機会も増えています。自分がどの程度のリスクに耐えられるか、事前に理解しておくことが重要です。

総括:台風被害が不安な場合の対応策【2026年版】

台風被害リスクへの対策まとめ

保険による対策

  • 水災補償は原則必須(余程の理由がない限り付ける)
  • 風災の免責金額は可能な限り少なく(理想は免責なし)
  • 保険料は上昇傾向だが、リスクヘッジを優先

立地選定による対策

  • 高台、河川から離れた場所を選ぶ
  • ハザードマップを必ず確認
  • 過去の災害履歴を調べる

メンタル面の準備

  • 完璧な予防は不可能と理解する
  • 自分のリスク許容度を把握する
  • ストレスに耐えられないなら不動産投資を避ける

最後に

2026年現在、気候変動による災害リスクは確実に高まっています。しかし、適切な保険加入、立地選定、そして自分のリスク許容度の理解によって、リスクを管理することは可能です。

台風被害が不安な方は、まず以下のステップを踏んでください。

実践ステップ

  • ハザードマップで物件候補地のリスクを確認
  • 複数の保険会社に見積もりを取る
  • 水災補償・風災補償の内容を十分に理解する
  • 自分のリスク許容度を冷静に評価する
  • 不安が大きすぎる場合は、無理に投資しない

不動産投資は長期的な資産形成の手段として有効ですが、災害リスクとは切り離せません。リスクを正しく理解し、適切に対処することで、安心して不動産投資を続けることができます

関連記事

  • 40代の準富裕層ってどんな人? 資産5000万円を持つ人とは?【2026年版】
  • 不動産投資の出口戦略 物件の売却価格を予測するには?【2026年版】
  • 【新築vs中古】不動産投資でおススメなのはどっちか!?【2026年版】

※本記事は2026年2月時点の情報に基づいて作成しています。保険商品、ハザードマップ、気象状況などは変化する可能性がありますので、実際の判断においては、最新の情報を確認し、専門家にご相談ください。


The following two tabs change content below.

2K-online事務局

主に日本国内で活動する投資アドバイザー。宅地建物取引士。税理士法人を母体とするコンサルティングファームにて約10年勤務。相続税対策としての不動産活用と、資産形成のための不動産活用が得意分野。2013年から独立し、クローズドの会員組織(階層別)を設立・運営。

更新日:|投稿日: