不動産投資・アパート経営と火災保険 物件購入時に入るべき特約とは?

先日、初めてアパートを買う方から、火災保険について相談がありました。どこの保険会社で、どんな内容にすればよいか、教えてほしいとのことでした。

アパートの火災保険は、ある程度相場が決まっていますので、正直なところ、どこの保険会社のものでも構いません。

しかし、補償内容については、メインの補償に加えて、どうしても付加してほしい補償・特約があります。保険にこの内容をつけなかったばかりに、少なくない損失を被ったアパートオーナーもいらっしゃいます。

そこで今回は、アパート経営で必須となる火災保険の補償について解説していきます。

▼アパート経営・不動産投資と火災保険 付加すべき補償特約とは?

詳しい保険代理店でなければ、それほど詳しく説明はされませんが、実はアパートの火災保険には多くのオプション特約があります。

その中でも、筆者の経験上、アパートなどの物件購入時には次の補償特約を付加することを強くお勧めします。(補償の名称・呼称は保険会社によって異なりますので、以下は筆者が使っていた保険会社の補償特約の呼称を使います)

1 施設賠償責任特約

施設賠償責任特約は、所有する賃貸物件の欠陥や、物件の管理、これに付随する業務の遂行を原因とする偶然な事故によって、他人にけがをさせたり他人の物を壊したりするなど、法律上の損害賠償責任を負った場合の損害(賠償費用)を補償します。

保険会社によっては、特約として用意されていないこともありますが、その場合は、火災保険とは別に、個別に賠償責任保険を契約する必要がありますので、詳しくは加入しようとしている保険会社・保険代理店に確認してください。

2 家賃補償特約・家賃収入特約

家賃補償特約は、アパートやマンションが火災等により家賃収入が得られなくなった場合に、通常の賃貸経営が再開できるまでの間の家賃収入を補償する保険。考え方としては、店舗の「休業損失」を補填する保険に近いものです。

火災などの事故が起きた場合、火災保険に入っていれば、建物や家財の損害は補償されます。しかし、修理や建替によって部屋を貸し出せない期間の家賃収入は補償されていません。これを補填してくれるのが家賃補償特約です。

家賃補償特約は、3ヶ月間、6ヶ月間、12ヶ月間といったように契約時に補償する期間を設定し、その期間を上限として損失した家賃分の保険金が支払われます。

(アパート経営・不動産投資 火災保険・特約の注意点)

前述の2つの特約補償は、アパート経営上、いざというときに大変役立つ特約補償なので、物件購入時には是非とも付加してほしいものです。

しかし、これらの保険の内容は、詳しくない方にはあまり知られていないようです。実際、筆者が物件購入のお手伝いをしたときにも、特にこちら側から「つけてほしい」と言わなければ、これらをセットで提案してくれる保険会社・保険代理店はあまり多くありませんでした。

特約が存在することすら説明されないことも多いため、是非こちらから指示して火災保険に付加するようにしてください。

以下、これらの補償特約がどのように使われるか、どのような場面で役に立つのか、もう少し詳しく解説します。

▼アパート経営・不動産投資 施設賠償責任特約 どんな場合に使うか

さて、前述の施設賠償責任特約ですが、どんな場面で使われるのでしょうか。筆者の経験を思い出しながら、事例をあげます。

(雨漏りで入居者の家具に損害)

筆者の経験上、一番多かったのが、雨漏りによるトラブル。老朽化等で雨漏りが発生し、雨で入居者の家具に損害が発生してしまうことです。

今までで一番ひどかったのが、入居者が海外製の高額な楽器を、雨漏りで台無しにしてしまったケースです。時価数百万円の楽器だったので、補償額をどのように評価するかでかなりモメました。

この時は、かろうじて建物オーナーが施設賠償責任特約に入っていたため補償の対象となり、金額的な負担は最小限で済んだようですが、入居者からの頻繁にクレームを受けたほか、「もし保険が出なかったら・・・」という不安を抱える日が続いたようです。

特に「施設賠償責任」を使う場面は、建物側に何らかの落ち度があって入居者に迷惑をかけてしまったケースがほとんどです。気のいいオーナーであるほど、ストレスはかなり重くなりますので、精神的な負担を減らす意味でも、施設賠償責任特約は付加しましょう。補償上限1億円でも保険料は数千円くらいで済むケースがほとんどなので、とても割安です。

▼アパート経営と火災保険 家賃補償特約 どんな場合に使うか

前述のとおり家賃補償特約は、アパートの休業損失を補填してくれる補償です。これは、ローンでアパートを購入した場合に、特に有効な特約となります。

例えば、アパートの一室で火災(ボヤ)が発生し、上階と左右の部屋に延焼してしまった場合、火災が起きた部屋を含めて4室分の家賃が入らなくなってしまいます。4室分の逸失利益が発生したと言えます。家賃補償特約は、このように火災によって発生した逸失利益を補填するものです。

家賃補償特約の存在が特にありがたくなるのが次の2パターン

1 ローン返済原資の確保

一般的にアパートなどの不動産を購入する場合、購入金額が大きくなるため、銀行などからローンを組んで購入することが多いものです。そうすると、毎月、元金・利息の合計を銀行に返済していくことになります。

そんな状況下で前述のような火災が発生して4室分の家賃が入らなくなるとどうなるでしょうか。1室5万円の家賃だとすると、20万円の現金が入らないことになり、たちまち返済原資に窮することになります。

そんな時に、家賃補償特約を付けていると、逸失利益20万円が補填されるので、返済原資で困るリスクをヘッジできるのです。(あくまでも火災が理由で退去した場合に限ります。)

通常、火災による損害が起きると、焼損だけでなく、消火活動(消化のための放水)による損害も大きくなります。状態にもよりますが、焼損物の撤去と修繕で、概ね2~3か月はかかりますので、最低でもそのくらいの期間は補償期間として契約しておく必要があるでしょう。(大体6か月くらいが一般的でしょうか)

実際に入居者がボヤを起こして火災が発生したオーナーの手伝いをしたことがありますが、購入時にこの補償特約を付けるようアドバイスしていたので、資金繰りには困らずに済みました。

2 生活費を家賃収入で賄っている場合

現在、生活費を家賃収入で賄っている世帯は、家賃収入が入らなくなると、とたんに生活が苦しくなります。定年退職後、年金と家賃収入で生活しているような方にとっては、4室空室となり、1か月で20万円も生活費が圧迫されるような事態になれば、目も当てられないでしょう。

もちろん、前提として、ある程度の余剰資金をプールしておくことは必要ですが、一つの事故で生活が危うくなるような事態は避けるべきです。家賃補償特約は、家賃収入に生活を頼っている世帯の収入を守る意味合いもあります。

(参考:家主費用特約)

アパートやマンション内で自殺や犯罪、孤独死による死亡事故が起きたことが原因で、該当の居住戸だけでなく、隣室や上下階の部屋が空室となった場合に家賃を補償する特約です。

補償内容は各保険会社の商品設計によって違いますが、概ね以下のような費用・逸失利益を補填します。数百万円程が補償されるケースが多いと思います。

・腐敗によって汚損が進んだ室内の原状回復費(消毒、脱臭施工費含む)、
・次の入居者が決まるまでに失った家賃(最長2年分)、または値下げした家賃(最大50%まで)、
・その他遺品整理費用やお祓いや供養に要した費用など、

比較的新しい補償特約なので、前述の2つの補償ほど普及はしていませんが、入居者の高齢化が進む中、有効なリスクヘッジ策として注目されています。

▼アパート経営の火災保険 付加すべき補償特約 まとめ

今回はアパート経営・不動産投資で、オーナーが付加すべき火災保険の特約補償について解説しました。施設賠償責任特約と家賃補償特約の2つはアパート経営を続けるうえで大変重要なリスクヘッジ策となります。

これから火災保険に加入する方も、すでに火災保険に加入している方も、是非保険の補償内容を確認して下さい。

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2K-online事務局

主に日本国内で活動する投資アドバイザー。宅地建物取引士。税理士法人を母体とするコンサルティングファームにて約10年勤務。相続税対策としての不動産活用と、資産形成のための不動産活用が得意分野。2013年から独立し、クローズドの会員組織(階層別)を設立・運営。