2018年春、某シェアハウス運営業者の経営破たんの状況、某地銀から借り入れをして失敗したオーナーさんたちの悲惨な状況が次々とニュースになりました。
やはり借金をして投資するのは危険なのか?
不動産投資・マンション経営に失敗すると、家賃収入が入ってこなくなり、銀行への返済が滞ってしまう。自己資金で返済をしなければならず、毎月キャッシュアウトが発生する。そして手元のお金がどんどん減っていく。
マンション経営を始めようとする人にとっては、このような失敗は考えただけでも恐ろしい状況です。
「やはり借金をして投資するのは危険だ!」そう思う人も多いのではないでしょうか。
しかし一方で、「不動産投資・マンション経営の借金は怖くない!」という借金肯定派、積極派のコラムもよく見かけます。
曰く「借金は5000万円でも1億円でも、10億円でも変わらない」と豪語します。
果たして、不動産投資・マンション経営で多額の借入をするのは危険なのでしょうか。
今回は不動産投資・マンション経営の失敗と借金についてまとめます。
そもそも不動産投資・マンション経営における失敗とは?
不動産投資・マンション経営の失敗パターンは大体決まっています。「儲からない物件を高値で買うこと」です。ある意味、これが失敗の王道と言えます。
そもそもマンション経営・アパート経営の魅力、メリットは、時間を味方にしながら、インカム・ゲインとキャピタル・ゲインの両方を狙えること。
マンション経営・アパート経営は、きちんと利回りが出ている物件を買えば、自然とキャッシュフローが積み上がります(インカム・ゲイン)。
そして、マンション経営は、長期にわたる融資返済が終われば、その物件を丸ごと手に入れることができます。そうすれば、売却を通じてキャピタル・ゲインも得ることができます。もちろん、儲かる見込みがあるのであれば、完済前に売却することも考えられます。
しかし、世の中、そんなにうまくいかないこともあります。例えば、
- 空室で家賃収入が減ってしまった。
- 家賃が下落して家賃収入が減ってしまった。
- 入居者の入れ替わりで修繕が発生して大きなコストがかかってしまった。
- 老朽化が進んで、大規模修繕で大きな修繕費用がかかってしまった。
- 入居者が決まらず、広告費を余計にかけることになった。。
このようなことが発生すると、とたんにマンション経営のキャッシュフローが圧迫され、しまいには、キャッシュアウトしてしまうこともあります。そうすると銀行への返済は、マンション経営からの収益ではなく、自己資金で賄う必要が出てきます。
そんな状態は耐えられないので、今度は物件を売却して手放そうとするでしょうが、これまた、そう簡単にはいきません。
そもそもキャッシュアウトするような物件はそんなに順調に売れません。買い手は指値を入れて買いたたこう叩こうとしてきます。もちろん、残債務を完済できるくらいの金額で売却できれば問題ないでしょうが、高値掴みしていると、そうはいきません。売るに売れない状態に陥ります。
ひとつ具体的なケースを考えてみます。
例えば、2年前に物件を8000万円で買って、残債務が7500万円残っている状態だとします。そうすると、残債務をキレイに返済するためには、8000万円弱くらいの価格で売却する必要があります。(売却時の諸費用を300万円くらいと仮定)
この物件、うまく8000万円以上で売れれば、うまく出口を取ることができますが、7000万円でしか売れない場合は、自己資金を拠出して損切りする覚悟がない限り、売却できません。
この結果、マンション経営者には、二つの選択肢しか残りません。儲からない(もしくはキャッシュアウトする)物件を持ち続けるか、損切りを覚悟して、強制的に売却するか、です。
冒頭のシェアハウスのオーナーさんたちも、この状態です。
毎月キャッシュアウトが激しいようだと持ち続けるのが難しいので、後は債務整理の相談になってくるでしょう。
毎月のキャッシュフローがプラスなら持ち続けていればいいし、借金をチャラにできる価格で売却できるなら売ってしまえばいい。
それができないから困ってしまう状況になるのです。
これが失敗の典型例です。
世の中には、こんな失敗事例があります。
色々調べてみると、不動産投資・マンション経営の失敗について、結構リアルな情報が公開されています。
トラブル・失敗事例 先輩大家さんのコラムを参考にしよう
- アパートローンが支払えないとどうなる? 払えないと言えば1億が300万円に!?
不動産投資・マンション経営と借金をテーマにした失敗事例ですが、ギリギリの状態になった時をリアルに語ってくれているのがこのコラム。読んでいて、おお、スゴイ情報だ、と勇気づけられました。
- 壮絶すぎる!まんが家・まりおさんが語る「続・僕と不動産と樹海の日々」
コミカルに不動産投資の失敗事例を語ってくれるコラム(漫画)です。個人で不動産を買った時の所得増→社会保険料増額、市営住宅の値上げ、など予想できない展開に翻弄される著者の苦悩を疑似体験として学べます。
- 赤鬼荘は今日もトラブル発生中
渡辺よしゆきさんが、初心者時代にトラブル続出の不動産投資に体当たりでぶつかった体験記。郊外の築古物件の修繕費や入居者トラブルなど壮絶な経験を、裁判風景などを交えて疑似体験することが出来ます。
借金はリスクを大きくする! それでも不動産投資をしたい人は?
「失敗」を前提とすると、借金は投資家が負うリスクを大きくなるのは間違いないでしょう。
借金さえしなければ、物件を買うこともなく、自己破産になることはなかったでしょうから。
ですが、不動産投資・マンション経営は多くの場合、借金が付き物です。
借入をしないと規模を大きくすることが難しいからです。
リスクが大きくなることを覚悟の上でマンション経営を始めるためには、失敗しないための工夫と努力が必要となります。
それが難しいと思うのであれば、借入はしないで不動産投資もしない方がいいと思います。
それでも「不動産投資をしたい」という人は、どうすればいいか?
以下の2つをマスターすることです。
重要な2つのポイント
- キャッシュフローを理解する
まずは、損益計算と資金繰り(キャッシュフロー)の違いをしっかり理解することです。キャッシュフロー計算は損益計算とは異なります。減価償却費、借入金返済(利子・元金)の計上が、キャッシュフローと損益計算で異なってきます。取得後もキャッシュフローの健全性を維持できるような物件を選ぶこと。そのためには、物件だけでなく、適切な融資選びをすることです。 - 物件を買う前に出口を考える
買った物件の出口を予め考えることも重要です。途中で売却するのか、持ち切って、解体して更地にして売るのか。あるいは新築物件を立て直すのか、など。その際に必要なのが融資の知識。あなたの次の買い手が、どの銀行を使って物件を買うのか。そこまでイメージできることが重要です。
アパート経営・マンション経営で成功するのも、失敗するのも、それなりに理由・原因があります。この2点については、稿を改めて解説したいと思います。
※文中の写真と本文は関係ありません(イメージです)。
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