失敗しない不動産投資 本当に効果のある「空室対策」はどれか?

今回のテーマは空室対策です。空室対策とは、所有している賃貸住宅(アパート・マンションなど)に空室を作らないために不動産オーナーが行う対策のことです。

そもそも、空室期間が長引いて家賃が入らなくなれば、オーナーには大きな経済的打撃となります。そのため、いかに早期に満室経営を実現し、それを維持していくかが賃貸経営において最重要となります。

空室対策は、対入居者、対仲介会社、対管理会社など、様々な方法があるのですが、対策を行う対象や目的、費用面で大きく性質が異なります。そのため、自身の物件に合った方法を慎重に検討し、実施することが大切になります。

そこで今回は、世に出回っている様々な空室対策を紹介しながら、実際に現場で効果がある空室対策について解説したいと思います。

世にある空室対策 どのくらい種類があるのか

世の中には、書籍やネットで様々な空室対策が紹介されています。しかし、中にはうまく入居募集に結び付かなかったり、管理会社などに敬遠されたり、費用倒れになったりすることもあるようです。ここでは、書籍やネットで紹介されている空室対策と、その概要をご紹介します。

(1)入居者の間口を広げる

どちらかと言えば、敬遠される傾向のある方を入居者として受け入れる対策となります。具体的には、ペット可にしたり、高齢者可にしたり、外国人、生活保護受給者を対象とする、などです。

募集の間口が広がる分、必然的に入居者が集まりやすくなりますが、それにまつわるトラブルやリスクなども発生しますので、それらのトラブルに対処できるノウハウや経験があることが望ましいと思います。

(2)初期費用の減らす

初期費用とは、敷金・礼金・仲介手数料など、入居時にかかる費用の総称です。限られた予算の中で引っ越しを考えている入居者さんにとって、初期費用の多寡は結構重要な判断要素となります。

昨今の賃貸市場を見てみると、単身世帯(ワンルーム、1K)では敷金礼金をゼロにすることも多いようです。ファミリー世帯の賃貸物件でも敷金礼金をゼロにすることもあるようですが、単身世帯用物件よりは敷金・礼金を取っているようです。

さて、この初期費用の減額ですが、金銭に直結しますので、家賃減額と同じように、結構インパクトは大きいようです。競合物件次第ではありますが、敷金の代わりに「ルームクルーニング代」という名目で予め入居者から金銭をお預かりする管理会社もありますが、それも一つの工夫でしょう。

(3)フリーレントの導入

フリーレントとは、一定の期間家賃を無料にすることです。賃貸物件を契約した日から一定期間家賃が無料になりますが、無料期間が終わると通常通り家賃を支払って住むことになります。

無料期間は半月~3ヵ月などまちまちですが、一番多いのは1ヵ月無料です。筆者の感覚ですと、店舗・事務所物件などではよくフリーレントが使われるのですが、住宅の募集条件としてフリーレントを使うのは最終手段に近いかと思っています。

フリーレントを使うのは、どちらかというと高めの家賃で入居者を入れたいときです。背景には、「物件の収益性を高く見せたい」という思惑があります。そのため、収益不動産を保有する企業が、高値で物件を売却するためにフリーレントをつけることがよくあります。

他方、一般の大家さんであれば、フリーレントをつけるよりも、家賃を下げたり、その他の初期費用を下げたりするなどで、ある程度反応と成約を取り付けることが出来ると思います。

(4)ネット掲載写真・募集図面(マイソクなど)の見直し

写真や募集図面の見直しで劇的に改善したケースもあります。お部屋の募集図面は基本的に不動産会社さんが作ります。そして、多くの場合は、物件の管理会社(元付け)が作成し、それをもとに、客付け業者さんが資料を作成・転用します。

効率重視の会社は元付けの資料の「帯(会社名・連絡先などを記載した部分)」を替えただけで募集活動をします。

さて、この募集図面の見直しが劇的な効果をもたらすのは、従前の募集図面や資料がひどいときです。特に「写真」の扱いはかなり重要です。

物件掲載サイト、たとえばアットホーム、HOME‘S、スーモなどでは、同じ物件に複数の業者さんが情報を掲載していますが、写真は業者さんがそれぞれ部屋を見に行って撮影したものを使うことが多いようです。

そうすると、写真のクオリティが低く、閲覧した方の印象が悪くなってしまいます。そこで、物件完成時にきちんとした写真を撮って、それを元付け・客付けに配布し、ネット掲載情報の質を上げている大家さんもいらっしゃいます。

写真をキレイなものに変えただけで、反応数が一気に上昇した物件もいくつも見ています。今のネット掲載情報、募集図面をしっかり確認して、気になる点などがあれば、元付けさんと協力しながら改善していくと、その後の募集も楽になります。

(5)営業マンへの個人的謝礼

営業マンへの個人的謝礼は一時期流行った手法です。当時は画期的手法ということでかなり注目されましたが、多くのオーナーがマネし始めたので、相対的に効果は下がっていると感じています。

一応断っておくと、大手の不動産会社さんなどは、社員がオーナーから個人的謝礼を受けとることを禁止している企業もありますので、十分に注意しましょう。

効果のほどは劇的にある場合もありますし、それほど効果が上がらないこともあります。物件次第、営業マン次第なところもあります。謝礼をつけるならば、広告料を積み増したほうがいい、という意見もあります。筆者はどちらかというと「広告料派」です。

(6)街の不動産屋さんを巡る

これも一時流行りました。これをやるのは、元付けの不動産業者が動いてくれない場合です。ある程度しっかりした元付けであれば、物件の沿線の仲介業者に情報を広めたりしていますので、オーナーに二重に動かれるのを嫌う傾向があります。

また、不動産屋さんから逆営業(管理会社を切り替えませんか)を受けることもあるので、場合によっては、管理会社(元付)との関係性に悪影響があることもあります。

もし自分で業者さんを巡る場合には、事前前に元付けさんに相談・報告をしておく方がよいでしょう。(まともに動いてくれない元付けであれば話は別ですが)筆者の感覚ですが、どちらかというと最終手段に近い感じかなと思います。

(7)モデルルームを作る

これも一つのアイディアですが、筆者の感覚だと効果はいま一つという印象です。モデルルームを設営する目的は、部屋をよく見せるため、家具などのレイアウトをイメージしてもらうためだと思いますが、うまくレイアウトしないと、逆に部屋が狭く見えたり、部屋の寸法を測りに来た内見者の邪魔になったりしてしまいます。

分譲住宅のモデルルームであれば、ある程度広いスペースがあるので見栄えがしますが、狭いワンルームでは、よほど優れたインテリアコーディネートでない限り厳しいと思います。

(8)設備投資

費用がかかりますが、新しい設備を導入するのも対策にはなります。最近ですと、やはりセキュリティ対策の設備、インターネット環境の整備などに関心が高いようです。

ただし、オートロックや防犯カメラ、無料Wi-Fiなどは、標準化しつつあるので、競合に負けないための投資です。逆に、これらの設備がないと選択肢から外されてしまうこともあるので、可能な範囲で導入したほうがよいでしょう。(費用がかかりますので、費用対効果はきちんと考えましょう)

(9)外壁塗装

これは、実際に効果があるようです。筆者の先輩で、築古物件の再生などをやっている方がいたのですが、外壁塗装など、エクステリアのリフォームで成約率が大幅に改善すると言っていました。特に築が古い物件ですと、第一印象が大分違ってくるのだと思います。

ただし、外壁塗装はかなりお金がかかります。空室対策というよりは長期修繕の中で話題になるものなので、その点はご留意ください。

(10)管理会社の切り替え

元々の管理会社の仕事ぶりが良くない場合は、これによって大きく反応が変わることもあります。ただし、管理会社を替えるのは、結構なエネルギーが必要なので、その点だけはご留意ください。

これまで紹介していた空室対策の手法とは意味合いが違いますし、単に入居者の募集というだけでなく、その他の注意点もいくつも派生してきますので、本当に最終手段と考えたほうがいいでしょう。

判断基準としては、「現在の管理会社が信頼できない」「何度言っても同じミスをする」「報告・連絡を求めても全くレスポンスがない」などの状態。

その場合は、セカンドオピニオンを求める意味でも、違う管理会社に相談してみるのもありかもしれません。ただし、先輩大家さんや、その道に詳しい人から、評判の悪くない管理会社の情報を聞いておくことが前提となります。

最前線の担当者に聞いた、本当に効果のある空室対策とは

さて、それでは本当に効果のある空室対策はどれなのでしょうか。ここからは、筆者の独断と偏見、及び懇意にしている管理会社からのフィードバックを基にしておりますので、異論がある方もいらっしゃるでしょうが、数ある見解の一つとしてご容赦ください。

(1)広告料(AD)

正直、オーナーとしての負担は大きいのですが、広告料は一定の効果があります。ADゼロとAD1(家賃1か月分)だと、業者からの反応が違います。エリアによってはAD2か月が標準となるような場所もあるようですが、経営の視点で言えば1か月で納めたいところ。

ADによる負担を軽減させるためには、なるべく入居者の入れ替えを起こさないこと。長く住んでもらえるように、物件の居住環境を整えて、ネガティブな理由での退去が起きないように留意しましょう。

(2)適正家賃

身も蓋もありませんが、入居募集で最大級のインパクトを持つのが、やはり家賃。書籍やブログ・コラムなどで「家賃を下げるのは最後の手段」と主張する情報が多いですが、筆者の経験上、相場を見ながら家賃を調整するのは、出来るだけ早い方がいいと思っています。

筆者は職業柄、それなりの数の不動産オーナーやサラリーマン大家さんとお会いしてきました。頑張って空室対策に取り組み、満室経営を実現された方も多いのですが、かけた時間と費用を考えると、家賃を2000円下げたほうが安上がりだった、ということはざらにあります。

もちろん物件のスペックにもよりますが、競合物件がある中、そのエリアの相場で許容できる適正家賃というものがあります。それを逸脱すると、競合に客が流れるので、入居が決まるまでに時間がかかり、逸失利益が大きくなります。

また、適正家賃は長期入居にもつながります。様々な空室対策のおかげで、相場よりも5000円高く入居してくれたとしても、潜在的に「家賃高いなぁ」という意識が生まれてしまうのは仕方がないこと。そうすると、次の更新で他の物件に引っ越してしまう可能性も高くなってしまいます。

筆者のクライアントで、相場よりも少し安めの家賃で提供しているオーナーがいるのですが、物件はいつも満室。入れ替えは起こりますが、かなり早期に次に入居者が決まるので、稼働率は驚異的な水準です。物件の状態はいつもきれいにしているので、家賃と品質からリーズナブルと認識されており、転勤や結婚などの理由がなければ、めったに空きが出ないようです。

家賃設定は、物件取得時の収支計画に左右されることもあるでしょうが、空室が長引き、逸失利益が大きくなるのは最悪です。競合物件などを見ながら相場観を身に着け、うまく家賃調整することをお勧めします。

(3)共用部の清潔感を保つ

物件の清潔感は超が付くほど重要です。廊下などの共用部にごみが散乱していたり、ポスト付近にチラシが散乱していたり、汚れや破損が目立ったりすると、成約率は著しく下がります。

まず廊下・階段などですが、共用部の破汚損は物件のイメージを大きくマイナスに傾けます。これを防ぐためには、どうしても日々の清掃が重要になります。日常清掃を月2回などにしている物件も多いのですが、どうしても汚損は目立ってきます。筆者の感覚としては、週1回くらいは日常清掃に入ってほしいところです。

また、ごみ集積所も注意が必要です。入居者のマナーが悪いと、長期間放置されたごみが目立つ物件もあります。ストッカーからゴミが溢れていると、内見者には非常に印象が悪くなります。

さらには、入居者以外の第三者が勝手に粗大ごみを置いていくことも散見されます。実はこのようなごみのトラブルは昨今頻発しており、結構な数のオーナーさん、管理会社が頭を悩ませているようです。これを防ぐために、監視カメラの導入が決めるオーナーさんも多いようです。

物件の清潔感を保つ、というのは当たり前のように聞こえますが、実は結構難しく、意外と出来ていない物件が多いようです。そう考えると、これを徹底するだけでも、空室対策として一定の効果があると筆者は考えています。

本当に効果のある「空室対策」 まとめ

今回は空室対策について解説しましたが、参考になりましたでしょうか。空室対策には、様々な手法がありますが、筆者としては、長く住んでももらうための戦略が最重要かと思います。「周辺相場のリサーチ」「適正家賃」「物件の清潔感」このあたりを継続していただければ、ある程度ストレスなく満室経営が実現できるのではないかと思います。

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2K-online事務局

主に日本国内で活動する投資アドバイザー。宅地建物取引士。税理士法人を母体とするコンサルティングファームにて約10年勤務。相続税対策としての不動産活用と、資産形成のための不動産活用が得意分野。2013年から独立し、クローズドの会員組織(階層別)を設立・運営。