不動産投資は物件選びが重要!ダメ物件をつかまない選び方【3つのポイント】

今回は物件選びについて解説します。不動産投資が成功するか否か、重要なカギを握るのは「物件選び」です。収益物件を選ぶ際は利回りばかりに目を向けがちですが、高利回りの物件を購入したからといって必ずしも投資が成功するわけではありません。

投資目的を明確にした上で、賃貸需要、人口減少率、立地など、さまざまな要素を考慮して選ぶ必要があります。この記事では、不動産投資を成功させるための物件の探し方や目的に合った投資物件の選び方などについて詳しく解説していきます。

ダメ物件をつかむとこうなる?失敗不動産投資の例

不動産投資で失敗すると、どうなってしまうのか。考えただけでも恐ろしいですが、筆者は職業柄、失敗した投資家さんからの相談を受けることも多くあります。ここでは、筆者が実際に相談を受けた事例を少しだけ紹介します。

●選び方の失敗例1 区分マンションでキャッシュアウト

一例目は、儲からない区分マンションを大量に買ってしまったケース。この方は国内大手企業にお勤めの方。聞けば誰もが知っている会社で、重役手前のポジション。海外にもよく出張されるエリート会社員でした。

異変が起きたのは、会社に係ってきた電話営業。投資用区分マンションの販売だったのですが、福岡、東京を中心に新築区分マンションを紹介されたそうです。この方、属性がいいため、融資は簡単に通ります。そのため、気が付けば10室以上の区分マンションを所有するに至りました。

問題は、買ってしまった物件。いずれも新築マンションだったのですが、いずれも利回りは低水準。相談を受けた時点では、家賃収入に対して、融資返済額が大きく、キャッシュフローはプラスマイナス・ゼロの状態。さらに悪いことに、いくつかの物件で退去が出てしまい、次の入居者が決まらない事態が続き、毎月30万超のキャッシュアウトが常態化してしまいました。

そんな物件ならば売却するのが吉ですが、残念ながら物件の評価が低く、売却代金で残債務を返済することも出来ない状態。大きな損切を覚悟しなければならない状況でしたが、キャッシュアウトが長く続いたため、貯蓄も乏しい状況。「このままいけば自己破産か・・・」という状況でご相談にいらっしゃいました。

ここでのポイントは、「キャッシュアウトする物件を選んだこと」と「安値でしか売れない物件を選んだこと」。いずれも物件の選び方としては大失敗です。

ちなみに、この方の場合は、超高利回り物件を取得してキャッシュアウトを軽減させ、残債務の返済を継続。ある程度、売却予想額と残債務が釣り合ってきた時点で売却。最終的には10年弱をかけて不採算物件を売却し、定年退職とほぼ同時期に、無事に不動産投資の出口を迎えました。力業ですが、何とか収まってほっとしたご相談でした。

●選び方の失敗例2 難あり中古RCマンション

二例目は、難あり中古RCマンションの購入。これは正確に言えば、購入直前でストップをかけられたので、ギリギリ失敗にはなりませんが、結構危ういところでした。

「難あり」のポイントは、都内の物件ではありますが築30年弱で利回り6.5%という低収益物件であり、かつそれほど便利と言えない立地で地下1階部分が事務所という仕様。おまけに最上階がオーナー居住仕様(ワンフロアすべてオーナー居住、106平米)

ちなみに全14室で、3室空きの状態で、満室想定だと表面利回り7.5%ですが、それでも低水準です。これで地下の事務所と最上階の広い部屋が空室になると、一気にキャッシュフローが悪化します。

これでよく買う気になったなと思うのですが、驚くべきことに、業者が出してきた収支シミュレーションでは、月々30万円弱のキャッシュフローが入ってくる試算になっていました。

このカラクリは、融資条件の設定と支出の甘い見積もり。

融資条件は、金利1%弱、25年融資を見込んでおり、普通に考えてかなりハードルの高い試算。さらに、満室時想定の試算なので、現状3室空きのままであればプラスマイナスゼロです。経費の見立ても概算でしか出しておらず、さらに大規模修繕も未済。

ここでのポイントは以下の通り。
「築30年弱の中古で利回り6%台は論外(7%台も論外)」
「思わしくない立地での店舗・事務所は要注意」
「バラ色の融資条件につられてはいけない」
「無駄に広い部屋は客付けしにくく、空室リスクが高い」
「大規模修繕未済の建物は要注意」

このご相談者様の場合は、買付を入れていたものの、契約前にアドバイスできたため、相当揉めたそうですが、キャンセルできたそうです。裏話として、業者の心理的圧迫もあくどい手法でひどかったのですが、この点は別の機会に解説します。

ダメ物件をつかまない選び方【3つのポイント】

さて、ここまでダメ物件をつかんだ(つかみそうになった)事例を少しご紹介しましたが、選び方を間違えると本当に危険な事態になることは知っていただけたかと思います。

そこで次は、ダメ物件をつかまないポイントを解説します。では、具体的にどのような基準で投資物件を選べば良いのでしょうか。そこには3つのポイントがあります。

1 キャッシュアウトする物件を買わない

投資用物件では、何よりも重要なのが収益性。そもそも儲からない物件を選んでしまえば、どんなに努力しても結局は儲かりません。

不動産投資のリターンは、運用益(インカムゲイン)と売買差益(キャピタルゲイン)です。これの合計が大幅にプラスになっていることが最低条件です。後は、投下した手間と時間が、リターンに見合っているかどうか。以下の記事では、儲かっている先輩投資家さん達の目線を大雑把に解説しておりますので、まずはこちらをご覧ください。

【参考記事】
不動産投資の利回りは普通何%?成功投資家の基準はどのくらい?

仮にキャピタルゲイン重視の投資であったとしても、保有期間中のキャッシュフローがマイナスになる物件はかなり厳しい物件です。売買価格は収益性にも大きく左右されますので、少なくともプロ以外が手を出すものではありません。

2 難あり物件を買わない

ご紹介した事例の二つ目で、結構な難あり物件があったことをお話しましたが、これ以外にも難がある物件を選ぶと、運営中のキャッシュフローが圧迫されるリスクがあるほか、売却時にも不利に働くことがあります。

先にあげた事例と重複しますが、注意ポイントとしては、

・イマイチな立地で店舗・事務所
・無駄に広い居室(オーナー住居)
・大規模修繕未済
・違法建築(容積率オーバーなど)
・現入居者の家賃が高すぎる

上記の項目に当てはまるものがあれば、検討中止、もしくは大幅指値を検討するほうが良いでしょう。

3 融資を知ること

三つ目のポイントは、投資用不動産への融資をしっかり理解すること。大事なのは、融資期間がどのくらい取れるか、どういう物件ならば融資してくれるか、を知ること。

融資を知っていると、自分が購入する時だけでなく、物件を売るときに次の買い手がどのくらいの条件で購入検討してくれるか、予想を立てることが出来ます。

言い換えると、買う前に出口を検証できるようになります。それができれば、不動産投資からのリターンをある程度正確に予測することができて、不動産投資で損する可能性をかなり低くすることが出来ます。

保有期間中のインカムゲインで儲けて、売却する時にキャピタルゲインも取れる、そんな投資が可能になる物件選びが可能にするのが、融資の知識です。融資の知識・情報は、実際に自分で銀行に当たってみるか、あるいは先輩大家さんから聞くのがセオリーです。

業者さんから聞くことももちろん可能ですが、前述の事例のとおり、悪質な業者もたくさんいるので、きちんと自分の方針・軸が定まるまでは参考意見程度で聞いたほうがいいでしょう。

投資の目的によって物件の選び方は変わってくる

もう一つ、違う軸で物件の選び方をお話します。実は、物件の選び方は、不動産投資を行う目的によって適した物件が変わってきます。ここでは大きく3つの目的別に、適した物件の選び方を解説します。

目的別の選び方(1)資産形成目的の場合

「資産形成」を目的とする場合は、「キャッシュフローが出やすい物件」を選ぶことが重要です。キャッシュフローを重視したい場合、融資期間が長く取れる物件で、かつレバレッジをかけやすい不動産投資が好まれます。具体的には「中古1棟RC」か「新築木造アパート」が向いています。

●(1)「中古1棟RC」

「中古1棟RC」は、最もキャッシュフローが出やすい投資と言えます。キャッシュフローが出やすいのは、レバレッジをかけやすいこと、新築・築浅よりも利回りが高いこと、融資期間が長くしやすいことが理由です。

懸念点としては、購入後に大きな修繕が必要となること。RC造は木造よりもメンテナンス費用が高額になることが多いので、ある程度の修繕費用は購入前に見込んでおいた方がいいでしょう。たいてい、売主は大きな修繕が発生する前に売却するので、買って数年で大規模修繕が必要になることもあります。

あとは、出口で売却する際、残存耐用年数が短くなるため、物件を高値で売りづらいこともあります。耐用年数を超えて融資してくれるのは、今のところスルガ銀行などが有力。スルガ銀行など不動産投資に対して積極的に融資してくれる銀行のの融資基準を理解して、出口を想定しておくことが重要かと思います。

●(2)「新築1棟木造」

もう一つ、取り組み安いのが「新築1棟木造」。「劣化対策等級」を取得することで、ある程度融資期間を長くできる(最長30年程度)ほか、しばらく修繕費用がかからないこともメリットです。

一方、懸念点は利回り。一般に新築物件は利回りが低いものですが、よい物件を紹介してくれる業者を見つかられればきちんと儲かる不動産投資になります。具体的には、立地にもよりますが、少なくとも7%以上、8%以上であれば安全圏です。

目的別の選び方(2)相続税対策の場合

「相続税対策」を目的とする場合は、「相続税評価額の圧縮効果」と「流動性(売却しやすさ)」が重要です。具体的には、ある程度立地の良いエリアにある「築浅RC」が好まれます。「築浅RCは」建物の評価減が大きく、相続税評価額の圧縮効果が高いほか、耐用年数が長く融資期間も長く設定できるため、流動性の高さも担保できるからです。

●(1)「相続税評価額の圧縮効果」

「相続税評価額の圧縮効果」ですが、不動産の相続税評価額は以下の評価額を参考にされるのが一般的です。

 土地 相続税路線価や固定資産税評価額
 建物 固定資産税評価額

多くの場合で、土地や建物の価値は時価(実勢価格)よりも低く(7~8割程度、物件よっては半減することも)評価されるのが原則です。そのため、相続税対策として、現金を不動産に換える(もしくは借入で不動産を買う)対策が取られることが多くあります。

●(2)流動性(売却しやすさ)

相続税対策を考える場合、流動性の高さも重要です。流動性が高い物件というのは、次の買い手が付きやすい物件です。人気エリアにある物件で、かつ次の買い手にとって融資が出やすい(融資期間が長く取れる)物件が優先されます。

投資用不動産の選び方 少しでも多く情報を集める戦略

今回は不動産の選び方をテーマとしましたが、もう一点大事なことをお伝えします。実は、不動産投資で成功するためには、物件の選び方も大事ですが、それと同じくらい、物件情報を集める努力も大事になります。

実は、意外と多いのが「エア大家さん」とも言うべき知識豊富な非大家さん。勉強熱心なので投資指標などにも詳しく、めぼしい物件情報があれば精力的に周辺業者を巡り、情報を分析することはできるのですが、なかなか物件を買えずスタートすらできていない、という方々です。

このような方々に共通するのは、「そもそも属性が悪い」か「情報の集め方が甘い」という点。「選び方」をどれだけ鍛えても、集まる情報が少なければ良い不動産は買えません。

●自分の属性をよく見せる

さて、不動産業者さんから情報をもらう際に何よりも大切なのは、自分が「不動産を買える属性である」こと。残念ながら、年収が低く、蓄えも乏しい方には、物件情報は回ってきません。業者さんにとっても良い物件情報は「貴重な弾丸」なので、確実に変える人、確度の高い人に情報を回します。また、不動産情報サイトでも、年収・金融資産などのプロフィール入力が必須となるサービスも多いものです。

そのため、出来るだけ「年収を上げる努力」「貯蓄を増やす努力」を継続していくことが大切になります。投資法によっては、それほど資金を要しない投資もありますが、そうでない限りは自分の属性をよくして、金融機関からの融資を受けやすい状態にしていく必要があります。

●自分でも買える物件を理解する

また、「自分の属性で買える物件」を理解しておくことも大事です。年収があまり高くない方が、数億円の大規模物件を買おうとしても無理があります。いくら積算評価が高くても、いくら収益還元評価が高くでも、実際には資産バランスを見られますので、大きな融資は望めません。

「少しでも属性をよく見せること」「自分が買える物件を把握すること」ぜひこの点、ご留意ください。

(参考)初心者が投資用不動産を探すには?

投資用不動産を探す方法はいくつかありますが、良い情報を集めるのはなかなか難しいものです。以下、初心者が一から不動産情報を集めるための方法をまとめました。

● 投資用不動産の専門業者

これが一番王道のやり方です。一般に不動産屋さんといえば、自分が住む「居住用」の仲介がほとんど。そのため「投資用」の情報は少ないものです。その点、投資用不動産を専門としている業者には、投資用不動産の情報がたくさん集まります。そこを通じて物件情報をもらうのが最短です。専門業者と接点を持つには、セミナー開催情報や書籍などを調べると様々な業者さんが出てきます。

ただし、筆者の目から見て、あまり儲からない物件を熱心に勧めてくる業者さんもいらっしゃるので、まずは自分で物件を選ぶ基準を持ってからの方が良いでしょう。また、成功している先輩投資家さんから、実績のある業者さんを紹介してもらえるのが最も確実です。

● 不動産情報サイト

不動産投資の人気が高まったことにより、不動産投資専門サイトが増加傾向にあります。そのため、インターネットでも多くの情報を得られるようになりました。立地、価格、利回りなど希望の条件で絞り込んで物件を検索できるようになっており、通勤時間などちょっとした空き時間にも物件情報をチェックすることができます。

ただ、掲載されている情報は良い物件が少ないのが現状です。良いモノは水面下で表に出ることなく売買されていることが多いです。たまに掲載情報で光る案件が出てくると、ものすごい倍率の競争になります。あとは、大きな指値を入れて優良物件にする方法もありますが、売主に差し迫った事情がない限りは指値が通るのは難しいでしょう。

● 競売案件は注意が必要

これはマイナーな方法ですが競売案件を探す方法もあります。不動産競売情報サイトなどを利用すれば、実際に競売にかかっている案件の情報を閲覧できます。それらを利用すれば、相場より格安で投資用不動産を入手することができるかもしれません。

一方で競売案件は通常の不動産とは異なり、内覧ができない、瑕疵担保責任がないなどのリスクがあります。こうした事情から、不動産投資の初心者にはハードルが高いので、競売で成功している大家さんなどから十分に情報をもらったうえでチャレンジしましょう。

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2K-online事務局

主に日本国内で活動する投資アドバイザー。宅地建物取引士。税理士法人を母体とするコンサルティングファームにて約10年勤務。相続税対策としての不動産活用と、資産形成のための不動産活用が得意分野。2013年から独立し、クローズドの会員組織(階層別)を設立・運営。