失敗しない不動産投資 新築アパート投資の基本から注意点までを解説

今回のテーマは新築アパート投資です。新築アパート投資は、元々地主さんが土地活用として実践することが多かったのですが、この10年で地主だけでなくサラリーマン投資家にも広く普及してきました。そこには、中古では得られない「新築アパート」ならではのメリットがありました。そこで今回は、新築アパート投資のメリット、そして注意点について解説いたします。

新築アパート投資 「土地から新築」と「建売購入」

そもそもアパート投資には、土地に新たなアパートを建築する方法(=「新築アパート投資」)と、すでに稼働している中古アパートを購入する(いわゆるオーナーチェンジ)方法の2つがあります。

新築アパート投資を始めるには、現在所有している土地(もしくは新築用に取得した土地)にアパートを建築する方法と、新築の建売物件を購入して始める方法の2種類があります。

土地の取得から始める場合には、土地探しに相応の時間がかかりますが、安値で土地を仕入れれば利回りが高い物件に仕上げることができます。また、設計の自由度も高いため、設備や間取りなどに、ある程度オーナーの要望を反映させることができます。

一方、新築建売物件を購入する場合には、すでに設備・間取りが決められているため、自由度が少なくなります。半面、すでに土地仕入れや設計(建築確認申請)、建築会社の手配がすんでおり、手間がかからず安心という面もあります。

どちらもメリット・デメリットがありますが、前者の方が幅広い知識・経験を求められるため、難易度は高くなります。後者は、建築確認も取得してから販売されることも多く、融資を受けやすくなるという面もあります。

一概にどちらが良いとは言えませんが、あえて言うならば、物件次第(立地・間取り・価格・利回り)だと筆者は考えています。

新築アパート投資 3つのメリット

新築アパート投資を始める場合のメリットをまとめます。

(メリット1)「新築アパート」は入居募集に強い

一つ目は入居募集に関するもの。新築アパートは入居募集のときに、中古物件と比較して大きなアドバンテージになります。室内が真新しく設備も最新式のため、入居を希望する人が多くなりやすいもの。その結果、内見に結びつきやすかったり、成約率が高くなったりします。

(メリット2)「新築アパート」は融資期間が長い

二つ目は融資上の理由。新築アパートは融資期間が長くなるのがメリット。木造の新築アパートなどは、なぜか原則である法定耐用年数(22年)を超えて25年や30年の融資を受けられることがよくあります。(劣化対策等級の取得が条件)

また、出口(売却)の面でも、築浅(築5年以内)で売却すれば、買い手も融資期間を長く取れるので、キャッシュフローが出やすく、手を出しやすくなります。そうすると、高い値段で物件を売却できる可能性が高くなります。

(メリット3)「新築アパート」は修繕不安が少ない

新築アパートの場合、当面はリフォームや修繕の必要がありません。建物の躯体などに不具合があった場合に建設会社が直す瑕疵担保責任もあるので、初心者には比較的安心です。

ちなみに、新築アパートと比較すると、中古アパートではこれまでどのような管理がなされていたかわかりづらいところがあります。予想できないような箇所に傷みがあり、物件を購入して間もなく大規模な修繕が必要で多額の費用が発生してしまう例も多いようです。購入時に注意しても見つかりにくい損耗もありますので、中古物件を買う時は、ある程度リスクに備えて資金をプールしておくのが安心です。

新築アパート投資の注意点やリスク

次に、新築アパート投資における注意点やリスクをまとめます。

(注意点1)「新築アパート」は利回りが低い

一般的な傾向として、新築アパート物件は中古物件よりも利回りが低くなります。中古物件は経年劣化などハード面の劣化が価格に反映されるほか、融資面(融資期間が短くなること)を考慮して利回りを上げる(価格を下げる)ので、どうしても新築より中古の方が割安になります。

(注意点2)「新築アパート」は家賃下落が激しい

家賃下落についても注意が必要です。新築物件は入居希望者が多く人気物件になりやすいのですが、一旦他人が住んで「新築」ではなくなってしまうと、家賃が低くなることが多いと言われます。

特に最初の入居者の家賃設定は高めにした場合、2人目からは家賃を下げることが多いので、購入前の収支試算でそのあたりの家賃減価率を厳しめに見ておく必要があります。

(注意点3)「新築アパート」は収益化するまで時間がかかる

収益化のタイミングも頭が痛いところです。新築アパートは、土地の選定から建物の設計、入居者募集など運用開始までの手間や時間が多くかかります。新築の建売を選べば時間は多少短縮できますが、中古アパートのように、購入直後から家賃収入を得られるわけではありません。入居者を付ける期間も必要となります。

(注意点4)「新築アパート」は現物を見ずに買わなければならない

現物を見ずに「青田買い」することもリスクになります。新築アパートは、購入相談時にはまだ建物が完成していません。そうすると、更地(もしくは建築中)の現地を見ながら、プラン図のみで購入検討しなければなりません。中古物件であれば、現物を確認することが出来ますが、図面で売買しなければならないのは、不動産に慣れていない方には不安なことだと思います。

新築アパート投資をおススメしたい人

メリットやリスクもありますが、新築アパート投資は次のような方に向いていると思います。

(キャッシュフローを多く取りたい人)

まずおススメなのがキャッシュフロー重視の方。「劣化対策等級」を取得することで融資期間の延長が認められ、木造としては融資期間が長く設定できるようになったため、他の投資と比べても、キャッシュフローを厚くしやすい組み立てが可能になります。

きちんとした利回り(立地にもよりますが、少なくとも7%以上、8%以上であれば安全圏)のものを選べば大きなキャッシュフローを期待できるようになりました。また、新築であるため修繕が少ないこともキャッシュフローが大きくなる要因の一つです。

(出口に不安を持ちたくない人)

次におススメしたいのが「出口の安全性」は確保したい、という人。築浅(築5年~10年程度)のうちに売却する想定であれば、融資期間を長く取れるので、次の買い手も融資が付きやすく比較的買い手はつきやすいと思います。

新築アパート投資 まとめ

今回は、新築アパート投資について、メリットと注意点をまとめました。新築ならではのメリットがある反面、開発リスクを負わねばならないこともありますので、初めて新築アパートを手掛ける場合には、出来れば経験者の先輩大家さんや、アパート開発に経験のあるコンサルタントなどに相談して、アドバイスを受けるほうが良いでしょう。

【参考記事】
40代の準富裕層ってどんな人?資産5000万円を持つ人とは?
【新築vs中古】不動産投資でおススメなのはどっちか!?

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2K-online事務局

主に日本国内で活動する投資アドバイザー。宅地建物取引士。税理士法人を母体とするコンサルティングファームにて約10年勤務。相続税対策としての不動産活用と、資産形成のための不動産活用が得意分野。2013年から独立し、クローズドの会員組織(階層別)を設立・運営。