会社経営者にとって、不動産投資は総合的にメリットの多い資産運用手法です。
実は儲かっている会社経営者の方は、皆さん不動産を購入する傾向があります。
せっせと稼いだお金を不動産に変えて、将来的な安定収入を目指している方が多いようなのです。
ただ、会社経営者にとって不動産投資のメリットは、安定収入の確保だけではありません。
実際、どのような理由で経営者が不動産を購入しているのか、まとめてみたいと思います。
これを読めば、世の経営者が、なぜ不動産を購入しているのかが、よくわかると思います。
ぜひ会社経営者にとって不動産投資にどんなメリットがあるのか、その仕組みを理解してください。
経営者が不動産投資をする際のポイント
会社経営者が不動産投資を始める際、若干注意しなければならないポイントがあります。
それが融資です。
実は、一般サラリーマンと比較して、会社経営者は不動産融資を受けにくい場合があるのです。
そもそも不動産投資が株式投資や投資信託と大きく違うのは、銀行の融資を利用できる点です。
株を買う資金を貸してくれる銀行はありませんが、担保の取れる不動産取得に対しては、銀行に融資を依頼することができます。
さて、融資の際にポイントとなるのが、経営者の個人属性もさることながら経営する会社の業績。
融資審査にあたって銀行は、少なくとも過去3年程度の決算内容を検討します。
事業が順調で経営状態の良い会社なら、全額借入れができる場合もあります。
そうなれば自己資金ゼロで不動産を取得し、賃料収入でローンを返済するという資産形成が可能になります。
逆に、個人の資産内容が良くても、経営する会社の業績が悪く、しかも会社の借入に経営者が連帯保証に入っている場合などは難しいかもしれません。
重要なのは会社の業績・財務内容が良いこと、安定した収益物件を見つけること、この2つの条件が揃えば、不動産投資はきわめて有効な資産形成の手段だといえます。
経営者の不動産投資 3つのパターン
経営者が不動産を買う場合、目的によって購入名義が変わります。
少し具体的に整理してみます。
1.経営者が個人で不動産を買う場合
まず一番わかりやすいのがこのパターン。
会社の事業とは関係なく、経営者が個人の資産形成として不動産賃貸業を営む形態です。
実はこの場合、不動産からの安定収益を得る以外にも、損益通算による節税、相続税評価額の圧縮、という税務面でのメリットを受けられるのがメリットでもあります。
会社経営者が個人で不動産投資をする最大のメリットとも言えるのが、不動産を持つことで損益通算ができるという点です。
損益通算とは2種類以上の所得がある場合、それぞれの損益を通算することができるというもの。
不動産投資には、固定資産税、減価償却費、借入や金利などを損金計上できる費目が多くあり、税務上赤字になることがよくあります。
この場合に、役員報酬などで得た個人の所得を損益通算で圧縮させることができるため、節税になるというロジックです。
また多くの会社経営者が抱える相続税問題にも、不動産投資は有効な場合があります。
相続税評価における建物の評価は固定資産税額ですが、多くのケースでは、実際に取引される売買価格よりも低く評価されることが多いものです。
また土地についても、実際の取引額よりも、相続税評価の基準となる路線価評価の方が低くなることが多いようなので、結果として、現金で多額の資産を持つよりも、不動産を購入する方が、相続税評価の観点からも節税になることが多いようです。
2.新設法人(資産管理法人)で不動産を買う場合
これは個人で不動産を購入する場合の発展形です。
本来経営している会社とは別に、経営者個人の資産管理に特化した法人を新設して不動産を購入するパターンです。
特に経営者自身の年収が高い場合には、個人の所得税率よりも、法人の所得税率の方が低くなるため、長期的な資産形成を考えた際に、新設法人で不動産を購入するほうが、メリットが出ることが多いようです。
ただ、経営者個人で取得した場合と違って、相続税の節税効果は望めないので、相続税の圧縮を検討している人には不向きな方法です。
3. 経営する会社(法人)で不動産を買う場合
次に、実際に経営している会社名義で不動産を買う場合です。
実際に事業を営んでいる法人で不動産を買う場合には、3つの目的が考えられます。
一つ目は、会社の収益源を増やすこと、二つ目は会社の事業と連動させて有効活用すること(自社店舗、従業員の寮・社宅としての利用)、三つ目は事業承継をにらんだ自社株対策、です。
(目的1 会社の収益源を増やす)
現在本業が好調でも、将来景気やマーケットが変化して、業績が悪化する危険性は常にあります。
おそらくあなたが経営者だったら、将来への不安はいくらでも出てくるでしょう。
順調に利益や所得を得られているなら、いち早く収益物件の活用を始めてもよいかもしれません。
(目的2 会社の事業のために使う)
自社の店舗・オフィスとして利用するケースが一番想像しやすいと思います。
昔ながらの商店や、スナックが長く経営できているのも、不動産を所有して家賃がかからないことが多いからです。
自社ビルを建てて過剰な投資をするのは問題でしょうが、身の丈に合った不動産を買うのはもちろんありだと思います。
また、それとは違う観点で、寮・社宅としての活用ということもよくあります。
経営者にとって、優秀な人材をいかに確保し定着させるかは、会社経営における大きな課題ですが、実は寮・社宅があるということは、従業員にとって福利厚生面で大きな魅力になります。
住宅に関する福利厚生には、住宅補助というものもありますが、これらの手当は企業にとって一方的なキャッシュアウトです。
しかし、自社で不動産を所有し、別で管理法人を作り、親会社と賃貸契約を結べば、親会社の福利厚生費は管理会社の賃貸収入となり、経費を回収するキャッシュフローが生まれます。
社員は社宅に安く住めて、賃貸主は安定した入居率を確保することができる。
会社は優秀な人材を定着させることが出来る上に、住宅補助のように一方的にキャッシュアウトすることもない。経営者にとって大きなメリットがあります。
これは会社が不動産を保有するからこそのメリットです。
また、社宅用の不動産取得という名目があると、銀行の融資が受けやすい面もあるようです。
(目的3 事業承継のための自社株対策)
これは経営者個人の相続税対策とちょっと似ています。
会社経営者が、次の世代に事業を承継する際に、自社株の譲渡が必要となります。
しかし、儲かっている会社であればあるほど、自社株の評価はかなり高いため、容易に譲渡ができない状態になっています。
これではスムーズに次世代に事業を承継できないため、自社株の評価減対策を講じることで、自社株譲渡を行いやすくする方法があります。
詳しくは項を改めますが、不動産を購入して、評価減を行う、という点は相続税対策と一緒です。
自社株評価の実務においても、不動産の購入によって、評価減を行うのがセオリーとなっています。
経営者が不動産投資 よくある質問
Q. 現在会社を経営しています。
創業以来、ずっと会社の業績を上げるために働いてきて、ようやく業績も安定してきました。
ここで、本業以外にもう一つ収益の柱を作るため、リスクヘッジを図るために不動産を購入しようと思いました。
ただ、サラリーマンと違って、会社経営者は融資が付きにくい、というのを聞いたことがありますが、実際はどうなのでしょうか。経営者はやはり不利なのでしょうか。
また、融資を打診するベストなタイミングはいつなのでしょうか?
A. 経営者が悩むのが、どのタイミングで不動産を買うか、ということ。
答えとしては、事業環境の良い時に不動産投資を始めるのがベストです。
事業環境が良ければ銀行の融資が受けやすいですが、事業環境が悪くなってから慌てて収益物件を活用しようとしても、金融機関から融資を引き出すことができないからです。
さて、会社経営者が注意したいのは自営業と同じく融資の審査です。
ポイントは、会社の評価が経営者自身の評価となることです。
大企業の経営者であれば問題ありませんが、中小企業の経営者の場合には銀行の融資を利用する際の審査で不利になる場合があります。
融資の審査では会社の直近3年間の業績を見られることとなり、黒字であることは融資審査通過の必須要件です。
さらに業績が右肩上がりとなっていることが望ましいので、経営する会社の状況によっては融資を受けられない可能性があります。
高所得の人であれば現金で投資するのも良いと思いますが、効率的に事業を成長させるという意味ではローンの活用は欠かせません。
将来的に不動産投資を考えている人であれば、経営者として会社の業績は黒字に保ち、きちんと納税をしていくという観点も必要になってきます。
ここまで会社経営者の不動産購入についてまとめました。不動産購入は経営者にとってもメリットが色々と得られるものです。もしあなたが経営者であれば、是非一度、不動産の活用を考えてみてはいかがでしょうか。
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