不動産投資100問100答(4)よい管理会社を見分けるコツを教えてください。

筆者の不動産投資のコンサルタントとしての体験から、よくある質問に簡潔に答えていく「不動産投資100問100答」シリーズ。今回は第四回として、よい管理会社の見分け方に焦点を当てます。

今回の質問は、「よい管理会社を見分けるコツを教えてください」というものです。正直言うと、すごく難しいです。理由は後述しますが、一度任せてみないと分からないことが多いからです。これまで悩まされましたし、今でも悩んでいます。

どういうことか、色々と筆者なりの体験がありますので、それらを交えながらお伝えします。

そもそも、よい管理会社とは何か?

僭越ながら、筆者はクライアントから「どの管理会社がよいでしょうか」という相談を数多く(数十件、100件まではいかないくらい)受けています。そもそも「よい管理会社」とは何でしょうか。これには、筆者なりの結論があります。

何よりも優先すべきは「客付け」の能力です。客付けに強い会社が「よい管理会社」です。客付けとは、新しい入居者を探してくることです。

管理会社を評価する判断要素は「対応の迅速さ」「人当たりのよさ」「会社の規模」「修繕費の安さ」など、いくつかありますが、筆者は「客付け」を最重視します。というのも、客付けさえスムーズに出来れば、大きな赤字に陥ることはなく、大体のことは解決できるからです。

そして、出来る会社と、そうでない会社では、明らかに客付けの反応・動きが違ってきます。特に最初の動き出しは重要です。あなたがオーナーであれば、退去後の再募集がスタートしてから1か月の動向を細かく把握してください。

どうも動きがおかしい、どうも反応が悪い、という時は何かしら原因があります。出来る管理会社ならば、具体的な提案が来ます。特に物件を任せたばかりで付き合いの浅い管理会社は、ここでの動きで良し悪しが分かります。

ちなみに、出来る管理会社は再募集の準備が整い次第、これまで実績にある仲介業者を中心に、すぐに情報を拡散します。過去の成約履歴をデータで保存しているので、家賃が相場から外れていない限り、反応の結構スピードは速いです。

「あれ?」と思ったら、他の管理会社を探す準備をしておいてよいと思います。すぐに切り替えることは無いとしても、中長期的によい管理会社を探しておくことはリスクヘッジにもつながります。

「よい管理会社」を見分けるコツ? ダメな管理会社を除外すること

正直な話、初見でよい管理会社を見分けるのは難しいです。一度管理を任せてみないと分からないことが多いからです。せいぜい、先輩オーナーや、その筋の専門家から評判を聞くくらいしか予防策はありません

たとえば、客付けが強い管理会社といっても、自分の物件で任せてみないと本当のところは分かりません。みんな、初見のプレゼンでは良いことしか言いません。また、レスポンスの速さなども担当者次第なので、実際に任せてみないと分からないことがほとんどです。

そのため、逆説的ではありますが、「よい管理会社」を見つけるために、「ダメな管理会社」を除外していくのが堅実な方法かと思います。回り道になりますが、筆者のクライアントも何社か管理会社を替えて今のところに落ち着いている人が多いです。

それでは、ダメな管理会社を見分けるポイントは?

ダメな管理会社を見分けるポイントは?と言われれば、それは確かにあります。客付けが弱い、お金にルーズ、報告がない、この辺がNGポイントです。

大体はやる気のなさが仕事に現れてきます。「この間言ったことが反映されていない」「言っていることとやっていることが違う」ということも良くあります。

なお、管理会社の実力を見極めやすいのが入退去が発生する時です。「退去立ち合い」「修繕・原状回復」「入居者募集」という重要業務が続くからです。そして、一番問題が発生しやすいのも、やはりこのタイミングです。

やる気のない管理会社だと、退去後の立会いが雑で、入居者起因の損耗をスルーしてオーナー負担にしてしまうことがあります。ひどいところだと、退去時の立会いを省略してしまうケースもありました。これでは、損耗が誰の帰責になるか証明のしようがありません。オーナーが負担せざるを得なくなります。

また、やる気のない管理会社は修繕項目の見積もりが雑で、リフォーム屋さんの言いなりで見積もり・請求書をオーナーに送ってきます。リフォーム屋さんがまともであればいいのですが、そうでないと、結構過大な修繕費を支払うことになります。

さらに、やる気のない管理会社は、入居者募集のスケジュールが雑です。退去後の立会いが終わってから修繕会社を手配するのでどうしても再募集が遅くなります。逆に、きちんとしている管理会社は、退去から修繕、再募集開始までのスケジュールを最短かつきっちり設定して、空室期間を短くするように最善を尽くしてくれます。

管理物件の共用部分もチェックポイント

あとは共用部分の清潔さも見分けるポイントです。多くの管理会社は、物件の清掃業務を外部に委託しています。提携している清掃業者がしっかりしていれば、そこまで汚くならないのですが、いい加減な清掃を安く請け負っている業者も少なくありません。

そうすると、ゴミストッカーや共用廊下などが汚くなります。共用部分の清潔さは、意外と長期入居や新規の入居者募集に大きな影響があります。新たに管理会社を探す時、あらかじめそこの会社が管理している物件をいくつか見てみたらよいと思います。

どうやって管理会社を探したらいい?

堅実な方法としては、実績のある専門家や不動産オーナーからの紹介です。特にオーナーの意見はかなり重要です。おそらく、おススメの管理会社よりも、ひどい管理会社の情報の方が集まりやすいと思いますが。

あとは、複数の管理会社に声掛けして、複数のプレゼンテーションを受けてみる方法もあります。管理コストも複数の見積もりを見ることで何となく相場が分かります。

候補の管理会社をリストアップするには、自分の近くを回って管理看板から探す方法が手っ取り早い方法です。その近くの物件を数多く扱っているので、話も早く、大きな間違いはないでしょう。

紹介ルート、地元業者などで複数の提案を聞く中で、とりあえず条件と相性がよさそうなところを選んでみたらよいと思います。

総括 よい管理会社を見つけるコツを教えてください。

「よい管理会社」の基準として最優先されるのは客付けの能力です。ただ、初見でよい管理会社を見分けるのは至難の業なので、複数の管理会社からのプレゼンを聞き、試しながら相性が合わないようであれば、切り替えていくというスタンスでよいと思います。

よい管理会社を見つけるコツはなかなか難しいところですが、良くない管理会社を見つけるポイントはあります。「あれ?」と思うことが続くようであれば、次の候補を探しても良いと思います。

管理会社の実力を測るのに絶好のタイミングが退去者が出たときです。特に退去が出た後の部屋の修繕、入居者の再募集をいかにスムーズに進められるか、で実力を測ることができるでしょう。

この時に修繕費が適正に見積もられているか、オーナーに誠実に対応してくれているか、入居者募集がスムーズかつ適切に準備されているかが分かります。何日も対応が遅くなるのは機会損失であり、オーナーの負担が大きくなります。

残念ながら出来ない人は本当に出来ないので、経営者として見切りをつける決断は必要になると思います。

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2K-online事務局

主に日本国内で活動する投資アドバイザー。宅地建物取引士。税理士法人を母体とするコンサルティングファームにて約10年勤務。相続税対策としての不動産活用と、資産形成のための不動産活用が得意分野。2013年から独立し、クローズドの会員組織(階層別)を設立・運営。