失敗しない不動産投資 物件の構造はどれが良いか?

今回は、不動産投資物件の構造について解説したいと思います。筆者は仕事柄、不動産投資を始める方々から「(建物の)構造は何がよいですか?」「木造とRC、どっちがいいですか」という質問をいただくことがあります。

この質問に対する回答は、実は難しいものです。投資の好みや、投資方針の立て方によって、どの構造が適しているかは変わりますので、一概にどの構造がベストか判断するのは難しいからです。

とはいえ、特に不動産投資初心者の方々にとっては一応の目安や、注意点、基本となる知識は把握しておきたいのではないでしょうか。

そこで今回は、各構造を比較しながら、構造ごとの特徴を解説し、どのような不動産投資が可能なのかをお伝えしたいと思います。

まずは構造ごとの特徴を把握する

まずは建物の構造を大雑把に分類して解説します。不動産投資で登場する物件の多くは、木造、RC造、S造の3種類です(一部、大型のものはSRC造)。

(1)木造

木造は、建築物の主要構造部(柱や梁など)を木材で構成されています。日本の建築の基本は木造で、戸建てはもちろん、小規模なアパートの多くは木造が採用されています。

他の構造と比べて、木造はコストを低く抑えられること、設計の自由度が高いこと、リフォームやリノベーションがやりやすいこと、がメリットとして挙げられます。不動産投資の対象としても、木造は利回りが高く、メンテナスも楽なので、よく用いられます。

反面、耐用年数を低く見られることから、融資期間が短くなりがちであり、その点でキャッシュフローが出にくいというデメリットもあります。また、RC造・S造と比べると、耐火性、耐久性に劣る点はデメリットとなります。

(2)RC造(鉄筋コンクリート造)

RC造とは、鉄筋コンクリート造のこと。鉄筋の特性(引っ張る力に強く熱に弱い)とコンクリートの特性(熱に強く引っ張る力に弱い)をうまく組み合わせ、両方のメリットを活かした工法です。賃貸マンションはもちろん、分譲マンションやビル、一部戸建て住宅などでも採用されており、低層から高層まで様々な建築物に利用されています。

メリットは、耐震性や耐久性が高いため長期間にわたって運用できること、そして耐用年数が長くなるため、融資期間も長く組めることもメリットになります。また、居住性の向上という点では、コンクリートは遮音性能が高い点も挙げられます。

デメリットは、他の構造(木造・S造)と比べて建築コストが高いこと、工期が長いこと、また建物自体の重量が大きいので構造計算が大変なことです。また、構造体(柱・梁・耐力壁)に関わるようなリフォーム・リノベーションが難しいこと、メンテナンス費用が他の構造よりも高いことも、デメリットとして挙げられます。

(3)S造(鉄骨造)

S造とは、鉄骨造のこと。建築物の主要構造部(柱や梁など)が鋼材で構成されています。鉄骨造には、使われる鋼材の厚さにより軽量鉄骨と重量鉄骨があります。他の構造と比較した場合、木造に比べると強度が高く、RC造に比べると軽いので、狭い敷地に建てられる縦長の建築物(ペンシル型ビル)や面積の広い建築物(工場)など、多用途で利用されます。

賃貸物件としてS造が使われる場合、3階建までのアパートであれば軽量鉄骨、4階建以上のマンション・ビルであれば重量鉄骨が使われている印象があります。ただし、後述のように構造によって融資期間が異なるので、融資期間を長くとりたい場合には重量鉄骨を使うことになります。

構造ごとのメリット・デメリット比較

(RC造と比較した場合のS造のメリット・デメリット)

RCと比較した場合のS造のメリットは、コストが低くなること。あとは、工期がRC造よりも短いこともメリットと言えます。また、鉄骨部分以外は改修も容易というメリットもあります。

反面、デメリットは、RCと比べると耐久性・耐火性に劣る点、また遮音性で劣る点、があります。また、不動産投資という観点で見ると、融資期間がRC物件よりも短いため、中古で売却するときに少し不利になる点が挙げられます。

(木造と比較した場合のS造のメリット・デメリット)

木造と比較した場合、S造のメリットは、耐震性や耐久性、耐火性に優れていること。また、重量鉄骨であれば、融資期間を木造よりも長くとれること。

あとは、木造で設計するよりも上に高い建物を建てられます。特に商業地域など容積率の高いエリアで狭い敷地の場合には、木造で容積率を消化することが難しいため、鉄骨造がよく採用されます。

一方、デメリットは木造より建築コストが高くなることです(主に重量鉄骨の場合)。実は昨今、鉄骨の値段が高く、重量鉄骨とRCのコストがそれほど変わらない、という現象も起きているので、重量鉄骨造を計画する場合は、建設会社から、しっかりと精度の高い見積もりを取っておく必要があります。

構造別の特徴を理解するための3つのポイント

さて、ここまで構造別の特徴・メリット・デメリットの概要をお伝えしましたが、それぞれの構造の違いを、もう少し細かく解説します。特に不動産投資で注目すべき違いは「コスト」「融資期間」「出口」の3つです。

(1)構造ごとの「コスト」の違い

まず注目したいのがコストの違い。建物の構造が違うと、コスト面(建築費とメンテナンス費用、維持管理費など)で大きな違いが出てきます。

まずは建築費。あくまでも参考値ですが、構造ごとに建築費がどのくらい違うのか、以下のような情報があります。

地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和3年分用】

仕様や施工現場によって全然違ってきますが、事業として収支が成り立つ賃貸住宅を建設する前提であれば、木造だと坪70万程度、RCだと100万~120万くらいが感覚値でしょうか。

また、維持修繕費もやはりRCが高く、木造が安くなります。躯体(建物自体)に加えて、設備も複雑なもの(ポンプやエレベーターなど)が多いため、どうしてもRC物件の方が割高になります。

【維持修繕費に関する参考記事】
(国土交通省)民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック
(国土交通省)民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック 事例編

あとは、固定資産税の負担もかなり違います。建物が頑強なRCが高く、木造が低くなっています。S造はその中間です。

(2)構造ごとの「融資期間」の違い

次に注意したいのが融資期間の違いです。ご存知の方も多いと思いますが、建物の構造により融資期間が異なります。

日本国内の一般論として、投資用不動産への融資期間は、法定耐用年数に縛られます。法定耐用年数とは、国税庁が定めた建築物や機械など固定資産の税務上の減価償却を行うための計算の基礎になる年数です。

・SRC造・RC造 47年
・S造(重量鉄骨) 34年
・S造(軽量鉄骨) 19年~27年
・木造 22年

(新築の融資期間)

あくまでも筆者の経験上ですが、新築の場合、RCの融資期間は35年、S造は30~34年、木造は25~30年、が一般的です。※銀行によって融資期間の取り扱いは異なります。新築RCに40年を提示する銀行もあります。

RCの法定耐用年数が47年なので、融資期間を47年にしてもよさそうなものですが、一般的な銀行では、まだそこまで長期の融資は取り組みません。

(中古の融資期間)

中古物件への融資期間は、残存している耐用年数が上限となります。例えば、築20年のRC造の場合、法定耐用年数47年から、経過年数20年を引いた、27年が最長となります。

他方、築20年の木造だと、ほとんど耐用年数が残っていないので、融資期間が短く、取り組みが難しくなるのが分かると思います。(実際には、築古の木造でも、買い手の属性次第で、10年程度の融資期間を組んでくれるところもあります。)

この融資期間は、不動産投資から得られるキャッシュフローに大きく関わりますので、収益不動産を購入する際に、どの程度の融資期間を見込めるかを把握するのは、とても大事なことです。ちなみに、不動産投資家はキャッシュフローの最大化を目指すことが多いので、できるだけ長い融資期間を望むのが一般的です。

(3)構造ごとの「出口」の違い

そして大事なのが「出口」です。不動産投資における「出口」とは、運用後の物件を最終的にどう手仕舞うか(処分するか)を指します。一番簡単なのは物件を売却すること。あとは更地にして売るなど。売却しないで自分で住む、新しい建物を建て替えする、などの手段もあります。

ちなみに、売却という観点で言えば、出口で一番有利なのはRCです。RCは耐用年数が長く、融資期間も長く組めるので、次の買い手を見つけやすいからです。

一方、自分で建物を解体することまで視野に入れるならば、解体が簡単で安価な木造の方が向いていることになります。

(例)出口の選択肢

たとえば、中古の物件(1棟アパートか1棟マンション)を購入する場合、出口は以下の3つが考えられます。

1 最終的に更地で売却する
長期保有前提。借入金を完済し、老朽化したものをある程度メンテナンスしながら使い続け、建物を解体して更地で売却する。(あるいは古屋付きで土地を売却する)

2 収益物件として売却する
建物をそのまま収益物件として継続させることを前提に売却する。

3 建て替えする
借入金を完済したのち、既存建物を解体して、その上に新しい建物を建てて賃貸業を行う。その土地を長期にわたって保有したいときの選択肢。

「結局、どの構造がいいのか?」

さて、ここまで、不動産投資で重要な建物の構造について解説してきましたが、肝心の「どの構造がいいのか」について、これから触れたいと思います。

ただし、これは筆者の経験に基づく個人的な意見・感想ですので、その点だけはご留意ください。以下はあくまでも一般論ですが、大まかな特徴をつかんでいただけると思います。

※今回は「構造」に焦点を当てているため、エリアの選定は考慮していません。実際には、どこのエリアの不動産を選ぶか、によって投資方針が大きく変わります。

キャッシュフローを重視する人

キャッシュフロー重視の方には、レバレッジをかけやすい投資がおすすめで、「中古1棟RC」か「新築木造アパート」がよいでしょう。

(1)「中古1棟RC」

「中古1棟RC」は、最もキャッシュフローが出やすい投資と言えます。キャッシュフローが出やすいのは、レバレッジをかけやすいこと、新築~築浅よりも利回りが高いこと、融資期間が長くしやすいことが理由です。

懸念点としては、購入後に大きな修繕が必要となること。RC造は木造よりもメンテナンス費用が高額になることが多いので、ある程度の修繕費用は購入前に見込んでおいた方がいいでしょう。たいてい、売主は大きな修繕が発生する前に売却するので、買って数年で大規模修繕が必要になることもあります。

あとは、出口で売却する際、残存耐用年数が短くなるため、物件を高値で売りづらいこともあります。耐用年数を超えて融資してくれるのは、今のところスルガ銀行が有力なので、スルガ銀行の融資基準を理解して、出口を想定しておくことが重要かと思います。

(2)「新築1棟木造」

ここ数年、キャッシュフロー重視派に人気だったのが「新築1棟木造」。「劣化対策等級」を取得することで融資期間の延長が認められ、木造としては融資期間が長く設定できるようになったことが背景にあります。

そのため、きちんとした利回り(立地にもよりますが、少なくとも7%以上、8%以上であれば安全圏)のものを選べば大きなキャッシュフローを期待できるようになりました。また、新築であるため修繕が少ないこともキャッシュフローが大きくなる要因の一つです。

収益性(利回り)を重視する人

利回り至上主義の方には、築古木造がおすすめです。構造別にみると、最も利回りが高いのが木造。高い利回りを活かして、早期(10年程度)で返済を完了させ、無借金の資産を増やしていくことが投資の基本方針になります。特に地方の築古木造物件は価格が安いこともあり、資金が多くない方でもチャレンジできる投資として人気です。

他方、築古木造の泣き所は融資の難しさです。元々、木造の耐用年数は22年ですが融資期間もそれに引っ張られます。築古であるため、残存耐用年数と融資期間が非常に短く、キャッシュフローが出にくくなります。

築22年を超えるものは、借り手の属性が良ければ10年返済くらいで融資してくれることもありますが、自己資金を多めに入れたり、他の収入が多かったりするなど、物件外の要素で審査上のプラス要因を重ねていく必要があります。

安全性を重視する人

借金が怖い=「区分RC造」

とにかく借金のリスクが怖い人には、とりあえず「区分RC造」がおすすめです。とりわけ借金のリスクが怖い人は、まず不動産投資に慣れるという意味で、区分RCはとっつきやすいと思います。

ただし、規模が小さいため、レバレッジをかけた投資に比べてキャッシュフローが小さいのは否めません。

出口が不安=「新築1棟木造」

出口の安全性は確保したい、という方には新築木造がおすすめ。築浅(築5年~10年程度)のうちに売却する想定であれば、比較的買い手はつきやすいと思います。

将来の売却相手はオリックス銀行を使って物件を購入することを想定して収支計画を立てるとよいでしょう。

なお、出口の堅実性という意味だと新築・築浅RCが一番堅いのですが、利回りが低いので、運用期間中のキャッシュフローが厳しい他、特に1棟ものでは物件規模が大きく多額の自己資金が必要となるため、ここではあえて「新築木造」を推します。

失敗しない不動産投資 物件の構造 まとめ

今回は、構造ごとの特徴について解説しました。「構造はどれが良いか」については、投資家さんの志向性にもよるので、あくまでも筆者の個人的な見解としておススメできる構造をまとめさせていただきました。

実際、不動産投資は「構造」「エリア」「築年数」で投資全体の方針が決まります。今回は「構造」に焦点を絞ってお伝えしましたが、機会を改めてエリアや築年数にも触れたいと思います。

【参考記事】
40代の準富裕層ってどんな人?資産5000万円を持つ人とは?
やばいと言われたスルガ銀行の今はどうなのか

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2K-online事務局

主に日本国内で活動する投資アドバイザー。宅地建物取引士。税理士法人を母体とするコンサルティングファームにて約10年勤務。相続税対策としての不動産活用と、資産形成のための不動産活用が得意分野。2013年から独立し、クローズドの会員組織(階層別)を設立・運営。