今回のテーマは不動産投資と融資。不動産投資への融資は、2017年あたりをピークに厳格化されてきました。
融資環境が厳しくなるなか、これから不動産投資を始めるには、どの銀行に相談すべきか、まとめてみます。
不動産投資と融資 投資パターン別のおすすめ銀行
今回は、1棟マンションか1棟アパートを買うときの銀行選びです。区分マンションについては、また改めて解説したいと思います。
(不動産投資と融資 銀行選びは投資物件で変える)
不動産投資の融資考えるうえで重要なのは、物件の性質(構造・築年数)によって銀行の選び方を変えること。
例えば、築古物件を買いたいのに、都銀に行ってはいけません。ミスマッチです。都銀は築古物件への評価が厳しいからです。
もし築古物件を買いたいのであれば、RCならスルガ銀行や、木造アパートならオリックス銀行などに相談するのがセオリーです。以下、詳しく解説します。
(1)中古RC
ここでは、中古と言っても築25年以上経過しているような物件を想定しています。特に築が古い物件はスルガ銀行が使いやすいと思います。
融資期間は耐用年数に左右されます。住居系RCの耐用年数は47年ですが、築30年のRCマンションを買う場合には、残存耐用年数は17年になりますので、融資期間も17年が上限となります。
しかし、融資期間17年だと、月々の返済額が大きく、キャッシュフローが出にくくなります。そうすると、運営も厳しいのですが、審査自体が通らなくなります。
その点で寛容なのがスルガ銀行です。(※以下の記事でスルガ銀行の情報を解説しています。)
耐用年数を超過していても、25年などの融資期間を組むことができます。築古物件は利回りが高いので、融資期間を長く取れれば、キャッシュフローが出やすくなります。
しかも、以前のスルガ銀行は金利4%台でしたが、今では2%前後と金着の水準が低くなっているので、無事に審査が通れば、毎月のキャッシュフローにも余裕ができます。
(2)新築・築浅RC
新築・築浅RC物件は、利回りが低いものの、融資期間を長く取れるのがメリットの一つ。そうなると、おススメは金利の低い銀行になります。
不動産投資にも比較的積極的なのは、りそな銀行。りそな銀行は、耐用年数さえ残っていれば、最長35年くらいで融資が可能。金利も1%前半から、属性次第で1%を切る水準で融資してくれます。
ただし、資産背景はとても重要で、少なくとも、物件を買った後に金融資産が5000万以上残っていないと、審査は通りません。
逆に、ある程度資産があるのであれば、一度相談してみても良いと思います。ただし、融資実行時にコベナンツ手数料、などの名目で、融資金額の1%相当を諸費用で取られることもありますので、その点は認識しておいてください。
(3)中古アパート
中古アパートの融資でネックになるのは、やはり融資期間の問題。特に木造は耐用年数が22年。築10年だと、融資期間が12年になってしまうので、キャッシュフローがかなり厳しくなります。
この点である程度融通が利くのが、オリックス銀行。木造でも耐用年数を35年と見てくれるので、築10年の木造でも、25年程度の融資期間が可能になります。
オリックス銀行の泣き所は融資上限。年収の10倍くらいが限界なので、年収700万の方ですと、7000万くらいの物件が限界になります。それ以上の規模を求める場合には、系統の違う物件を選ぶか、違う銀行を開拓する必要があります。
(4)新築・築浅アパート
築浅、新築アパートの融資は、割と幅広く検討できます。積極的なのは、やはりオリックス銀行。ただし、金額面での上限があるので、1億越えの物件などを狙う場合には、違う銀行を開拓する必要があります。
大光銀行も数年前までは非常に積極的に新築アパートに融資してくれましたが、2018年くらいから、かなり審査が厳しくなった感じがしています。
さて、新築・築浅アパートは融資の間口が広いので、おススメなのは金利が低い銀行。筆者の知る限り、首都圏では、りそな銀行、千葉銀行あたりが低い金利で成約しています。あとは属性・条件次第ですが、東日本銀行、きらぼし銀行なども有力。
ただし、2021年現在では、いずれの銀行もかなり条件や求められる属性が厳しくなっています。できる限り、事前準備で資金を貯めておくことが重要となります。
不動産投資と融資 どの順番で相談すべきか
前述のとおり、検討する物件の構造・築年数によって、相談すべき銀行は変わります。ただ、鉄則として、まずは金利の低い銀行から当たるのがセオリーと言えます。
そのため、優先順位としては、
1 都銀に相談
やはり金利の低いところから相談するのが基本。金融資産を最低でも7000万~8000万くらい貯めていた人が対象です。条件面ではやはり都銀になります。
都銀はエリアもある程度寛容なので、まずは都銀の可能性を探ってみるのがよいでしょう。りそな銀だと、物件を買った後に5000万残っていることが前提。他の都銀はもっと資産背景を求められます。
2 地元の銀行に相談(自分の住所付近)
基本はやはり地元の銀行に相談すること。まずは地銀がいいでしょう。管轄支店はおそらく、自宅の最寄りの支店になります。金利の面から言えば、やはりまずは地銀からスタートして、次に信金・信組になるかと思います。
筆者もクライアントから融資の相談を受けますが、当たってみて一番可能性があるのが、やはり地元の銀行です。管轄地域のお客さんの話なので、割と話を聞いてくれる印象があります。
今の懐具合や、事業に対する考えなどを誠実に説明していくと、いろいろアドバイスをくれることもあります。
不動産投資と融資 まとめ
・不動産投資の融資は、構造・築年数・エリアで選ぶべき銀行が変わってくる
・不動産投資の場合、融資期間は構造別の耐用年数に左右される。
・築古物件は耐用年数残りが少ないので、融資の間口が狭くなる。
・銀行選びは、金利の低いところから始めるのが基本。
・地元の金融機関はわりと話を聞いてくれやすいので誠実に丁寧に相談する。
以上、今回は不動産投資と融資をテーマに解説しました。昨今の不動産投資向け融資は厳しくなりましたが、過度な借り入れを期待しなければ、ある程度は話を聞いてくれると思います。
これから不動産投資を始める方は、今回の情報を頭において銀行に相談してみてください。
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