不動産投資のキャッシュフローを最大化させる5つのポイントを解説

今回のテーマは、不動産投資のキャッシュフローです。キャッシュフローとは、おおざっぱに言えば手元に残る現金のこと。毎月入ってくる家賃から経費を引いて、銀行への返済、税金を差し引いた手残りと考えておけば良いでしょう。

不動産投資で資産形成を狙う場合、キャッシュフローは極めて重要となります。そこで今回は、キャッシュフローの概要を解説したうえで、貯めたキャッシュフローをどのように使うべきか、どのように最大化させたらよいか、5つのポイントについてお伝えします。

特にこれから早期リタイアを目指して不動産投資を始めようという方は、是非ご覧ください。

そもそもキャッシュフローとは?

キャッシュフローとは、「お金の流れ」のこと。不動産投資においては、家賃収入から経費等を差し引いた「手元に残るお金」を指します。不動産投資におけるキャッシュフローの計算は以下の通り。

「キャッシュフロー」 = 家賃収入 - 運営経費 - 銀行返済

※ 運営経費には固定資産税などの租税公課を含みます。

(キャッシュフローと税務上の損益の違いとは?)

キャッシュフローの計算は、帳簿上の損益計算(損益計算書・P/L)とは異なります。帳簿上の損益計算は、取引が成立した時点などを基準にして収入を計上し、費用を差し引いたもの。これに対して、資金繰りの実態をより正確に表すのがキャッシュフローだといえるでしょう。

この違いがあるため、両者では、売上発生のタイミングと、実際に代価の受け取りが行われるタイミングと一致せず、数字が異なってきます。不動産投資で主にこの違いが出てくるのが、減価償却費と返済元金の二つ。詳しくは別稿で解説しますが、主に資金繰りを考える場面と、節税を考える場面で、それぞれを使い分けることになります。

キャッシュフローはなぜ重要なのか 資金繰りの重要性

世の中小企業の社長様方が一番気にすること、それが資金繰り。たとえ赤字でも、資金繰りがうまくいっている間は、会社は倒産しません。しかし「黒字倒産」という言葉があるように、利益が出ている会社でも、資金繰りに窮すると倒産してしまいます。

同じことが不動産投資でも当てはまります。不動産を運用していれば、次々と現金を支出する場面が出てきます。

例えばローン返済。毎月、金融機関に元金と利息を返済しますが、返済原資は家賃収入。しかし、空室が発生してしまうと家賃収入がなくなってしまいます。この時、手元に現金がないと、たちまち返済に窮してしまいます。

あとは、急な設備の修理や交換が必要になる場合においても同様です。一時的に出費が家賃収入を上回ると、自己資金から修理費を調達する必要があります。そのため、手元に現金を残しておくことは非常に重要なのです。

手元の現金は多いに越したことはありません。万が一空室状態が長く続いた場合や、リフォームなど大規模な工事費が必要になった場合でも、自己資金があれば安心です。

利益を出すことだけでなく、万が一のときのためのお金を持っておくという意味でキャッシュフローは重要といえます。そのため、不動産運用において、手元に現金があることは非常に重要なのです。

不動産投資のキャッシュフローを最大化させる5つのポイント

さて、ここまでキャッシュフローの概要と、なぜ重要なのかについてまとめましたが、肝心なのはキャッシュフローをいかにして大きくさせるかです。

筆者の経験上、不動産投資からのキャッシュフローを大きくするためには、以下の5つのポイントを意識する必要があります。

(1)物件選び:融資期間を長く取れる物件を選ぶ
(2)銀行選び:金利の低い金融機関を使う
(3)管理会社選び:客付けに強い管理会社を見つける
(4)リフォーム業者選び:良いリフォーム業者を見つける
(5)入居期間を長くする(テナントリテンション)

(1)融資期間を長く取れる物件を選ぶ

1つめのポイントは、「融資期間」を長く取れる物件を選ぶこと。実はキャッシュフローの観点で言えば、借入金の返済はかなり大きな影響があります。そして借入金返済額に大きな影響があるのが「融資期間」です。融資期間を長く取れる物件を選ぶと、キャッシュフローに余裕が生まれやすくなります。

ちなみに、融資期間は、「構造」と「築年数」に左右されます。投資用不動産への融資期間は、法定耐用年数に縛られます。法定耐用年数とは、国税庁が定めた建築物や機械など固定資産の税務上の減価償却を行うための計算の基礎になる年数のこと。

【法定耐用年数】
・SRC造・RC造 47年
・S造(重量鉄骨) 34年
・S造(軽量鉄骨) 19年~27年
・木造 22年

新築物件の場合、RCの融資期間は35年、S造は30~34年、木造は25~30年、が一般的です。中古物件への融資期間は、残存している耐用年数が上限となります。

例えば、築20年のRC造の場合、法定耐用年数47年から、経過年数20年を引いた、27年が最長となります。

他方、築20年の木造だと、ほとんど耐用年数が残っていないので、融資期間が短く、取り組みが難しくなるのが分かると思います。(実際には、築古の木造でも、買い手の属性次第で、10年程度の融資期間を組んでくれるところもあります。)

このような条件の中で、出来るだけ収益性が高い物件で、かつ融資期間を長く取れる物件を選ぶことが重要なポイントとなります。

(2)金利の低い金融機関を使う

2つめのポイントは、できるだけ金利の低い金融機関からお金を借りること。低い金利でローンを組めれば、月々の借入金返済額を抑えることができ、結果的にキャッシュフローの利益を大きくすることができます。

単純計算にはなりますが、仮に1億円の借入の場合、金利が0.1低いだけでも、年間10万円のコスト削減につながります。これが30年になると、300万円もの違いが出てきます。

金利の低い銀行は、属性面でのハードルが高いこともありますが、キャッシュフローの利益を優先して考えるならできるだけ低金利のローンを組むことをおすすめしたいところです。

(3)客付けに強い管理会社を選ぶ

キャッシュフローの利益を最大化するポイントの3つ目が管理会社選び。特に、客付け(入居者募集)に強い管理会社を選びたいものです。

空室が発生してしまうと、キャッシュフローが大きく損なわれてしまいます。月額家賃が7万円の部屋だったとすると、6か月空くと42万円もの逸失利益が発生してしまいます。

そのため、退去・空室があっても、すぐに次の入居者を見つけられるような、管理会社が理想的です。もちろん立地や設備、エリアの賃貸ニーズにも大きく左右されるものですが、やはり入居者募集にも営業力の差が出ることは間違いありません。できるだけ営業力の強い管理会社を引き当てられるよう情報収集などに力を入れるとよいでしょう。

しかし、管理会社選びは本当に難しく、一度付き合ってみないと分からない部分も多いものです。また、オーナーとの相性という面もあります。Aオーナーには良い管理会社でも、Bオーナーにはそうでないことも多々あるようです。複数の物件を持つ場合には、それぞれに違う管理会社を使ってみて、違いを比較してみると、よりよく理解できると思います。

(4)リフォーム業者選び:良いリフォーム業者を見つける

4つ目のポイントはリフォーム業者選び。退去後の修繕費用を抑えることは、キャッシュフローの改善に直結します。実際、ベテラン大家さんの多くは、この退去後の修繕に頭を悩ませています。

というのも、経年劣化による修繕はオーナー負担になるので、物件が古くなるにつれてオーナーが負担する修繕費は大きくなるからです。

修繕費を抑えるには、安くて腕のいいリフォーム業者を見つける必要があります。管理会社に丸投げしてお任せすることも多いのですが、管理会社は必ずしも安い業者を使うわけではありません。

先輩大家さんなどから、良いリフォーム業者さんの情報を得られるよう情報収集してみるとよいでしょう。

(5)入居期間を長くする(テナントリテンション)

キャッシュフローを考えるうえで、入居者の安定、入居期間を長期化させることはとても重要な対策となります。

一旦退去者が出ると、壁クロスの張替え、部屋のクリーニング、損耗設備の修繕などが必要になります。もちろん、入居者有責の損耗は入居者に請求できますが、経年劣化による損耗はオーナー負担。そうすると、少なくない金額が請求されることになり、キャッシュフローは圧迫されてしまいます。

また、新規入居者を募集する際、広告料と呼ばれる手数料が発生することが常態化しています。広告料はエリアによって違いますが、低くても家賃1か月相当。入居者募集が厳しいエリアでは、2か月分、3か月分と積み増ししなければならないところもあります。仮に2か月分の広告料が必要だとすると、入居が決まっても2か月間はキャッシュが入らないことになります。大きなキャッシュフロー圧迫要因になることはご理解いただけると思います。

そのため、出来るだけ退去を抑制し、入居期間を長くさせる対策が重要視されるようになっています。入居期間を長くさせるには、以下2つの対策が必要です。

・退去につながるネガティブ要因を消すこと
・家賃がリーズナブルと思わせること

まずはネガティブ要因を消すこと。入居者からのクレームの多くは、ゴミと騒音。そのため、まずは建物の清潔さを保つこと。日ごろからの美化・清掃が大切です。そのため、日常的にメンテナンスに気を配ることが大事だと思います。

あとは家賃の納得感を得ること。家賃は高ければ高いほど良い、という考え方もありますが、適正家賃(もしくはちょっと割安)の方が長期入居につながるのは間違いありません。古くなった設備を早めに交換したり、更新時に何か特典を付けたりするのも現役オーナーさんが実践しているテナントリテンション対策です。

不動産投資のキャッシュフロー まとめ

今回は不動産投資のキャッシュフローについてまとめました。キャッシュフローは、経営の安全性を考えるうえで、極めて重要なものです。

是非今回お伝えした内容を参考にしていただき、キャッシュフローを最大化させるよう取り組んでみてください。

【参考記事】
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2K-online事務局

主に日本国内で活動する投資アドバイザー。宅地建物取引士。税理士法人を母体とするコンサルティングファームにて約10年勤務。相続税対策としての不動産活用と、資産形成のための不動産活用が得意分野。2013年から独立し、クローズドの会員組織(階層別)を設立・運営。