不動産投資100問100答(3)築古物件って本当に買っていいの?

筆者の不動産投資のコンサルタントとしての体験から、よくある質問に簡潔に答えていく「不動産投資100問100答」シリーズ。今回は第三回として、築古物件に焦点を当てます。

今回の質問は、「築古物件って本当に買っていいの?」というもの。築浅の物件と比べると、築古物件は利回りが高いので、とても魅力的に見えます。

でも、本当にこの古い物件を買っていいのか?不安に思う方はたくさんいらっしゃると思います。実際、筆者に相談にくる方の中にも築30年くらいの物件でご相談する方は少なくありません。

正直なところ、「物件によりけり」というところはありますが、あくまでも筆者の個人的な見解として築古物件のことをお話します。

築古物件の泣き所は修繕費と入居者募集の広告料

築古物件を買っていいかどうかと言われると、すみません。多くのケースで止めておいた方がいいです、というのが筆者の見解です。

まずは1棟モノのアパート・マンション。利回りが高いので一見良さそうに見えますが、多分、大規模修繕はされていません。入居者募集も苦戦している可能性があります。エアコン・給湯器など居室ごとの設備の更新も控えている可能性は十分にあります。エレベーターの寿命もそろそろかもしれません。エレベーターは高額で、今の相場だと2千万くらいかかる可能性もあります。

正直、儲かっている物件だったら売る必要はありません。売るからには、それだけの理由があるのが普通です。そうでなければ、ずっと持ち続ければいいはずです。要は、何かしら都合の悪いことがあるから売りに出されていると思います。

築古物件に手を出した人が頭を抱えてしまうことが多いのが、新規入居者募集時の広告料と修繕費の負担、そして大規模修繕です。これらが発生すると、手元のキャッシュがすっかり無くなってしまいます。あまりにも負担が大きいので修繕を応急措置にとどめて手控える人は多いですが、空室による逸失利益(損失)はそうはいきません。高い広告費(3か月分など)を支払って、無理やり入居者を決めることもありますが、資金繰りはとても厳しい状況になります。

地方の激安区分も注意して

あとは、地方の激安区分マンション。築40年くらいで利回り10%超、一室250万円とかで売られているものです。家賃2.5万円で、管理費と修繕積立金で1.5万円くらいかかる物件です。

キャッシュで買ったとして、月の手取り1万円。年間12万円です。固定資産税を毎年取られると、いくら手残りがあるでしょうか。投資した250万円を回収するのに何年かかるでしょうか。しかも入居者の入替えがあって修繕費用が30万発生したら、一辺にキャッシュが出ていきます。

そして、保有するのが嫌になって売却するとしたら、いくらで売れるでしょうか。今でさえ250万円でたたき売りしている物件です。捨て値になるでしょう。安いには安いなりの理由があります。

もしそのような物件に投資するのであれば、リフォームによって大幅に家賃を上げられるポテンシャルがある物件、もしくは老朽化したマンション全体の建替えまで見据えた長期戦略を持てる人、に限ります。

正直、初心者にはお勧めしたくない、というのが筆者の本音です。それくらいなら、住宅ローンを使って自宅に投資するか、他の金融商品に投資したほうがよほど健全です。

築古物件のランニングコストについて知りたい

築古物件のランニングコストですが、新築・築浅の時と比べると格段にコストがかかります。

まずは居室設備の更新。エアコン・給湯器などの比較的中型設備の更新が10年~15年くらいでやってきます。更に20年スパンで見ると、キッチン・ユニットバスなどの大型設備の更新が視野に入ってきます。この辺りは自分がオーナーの時には正直やりたくない修繕です。

それから入居者募集の時にかかる広告料。いま、東京23区内の物件でも広告料を家賃2か月取られるようなケースも少なくありません。築古ならスタンダードかもしれません。

東京23区内ワンルームですと、家賃7万くらいだとして、2か月分だと14万円かかります。一度退去が出て、入居者の入替えが発生すると、①広告料②修繕費の負担で、冗談抜きに30万~40万円くらいの負担がオーナーに発生します。

30万円の負担と言えば、仮に家賃7万円だと4カ月分の家賃に相当します。物件を買ったばかりのタイミングでそんな支出が発生したら、「売主と業者に騙された」と思っても不思議ないかもしれません。

しかも、1棟モノの場合、入退去が一室とは限りません。3室分の入退去が発生したら、実に100万円超えの支出が発生します。

もちろん、それを織り込んだうえで投資するのであればOKですが、それを考慮していなかった場合には、とてもじゃないが、話にならない不動産投資になったことでしょう。

実際、筆者のクライアントや取引先の話を聞くと、築古物件はとにかくお金がかかる、お金が貯まらないと愚痴をこぼします。

あくまでも伝聞の事例ですが、利回り14%で買った築古物件でさえ、最終的に数百万円の利益にとどまったようです。保有期間中の入居者募集や修繕でお金が全然貯まらず大変に苦労したそうです。

他のクライアントでも、利回り10%を超える水準の築古物件を買ったそうですが、節税効果(減価償却費による所得税の圧縮)があったものの、修繕費や広告料の負担などで最終的にはプラスマイナスゼロ、もしくはややマイナスの運用結果となったそうです。

築古物件で利益を得るには?

築古物件で利益を得るには、
・安くて腕のいいリフォーム屋さんとつながること。
・入居者募集に強い不動産業者をつかまえること

の2点が必要です。

築古・高利回り物件の泣き所は、退去が出たときに顕在化します。まずは、どうしても発生してしまう修繕費を極力抑える必要があります。4~5万円の家賃のお部屋で、入居者の入替えごとに20万円くらいの修繕費用が発生してしまっては採算が合いません。広告費だって家賃2か月分相当を取られたら、一回の入退去で30万円(修繕費20万円、広告費10万円)の費用が発生してしまうのです。

そのため、まずは修繕費用を抑える仕組みづくりが必要です。とはいえ、そんなに簡単に安くて腕のいいリフォーム業者を見つけられるわけもありません。試行錯誤は必要ですが、何社か使い分けてみて、値段と仕上がりを確かめながら、よりよい業者さんを探し当てるしかありません。知人からの紹介という手段もありますが、窓口を広げる意味ではよいですが、過度に期待しないようにしましょう。

それから、空室期間を極力短くできるように、入居者募集に強い賃貸不動産仲介をつかまえておくことも重要です。広告料2か月、空室期間2か月だと、それだけで4か月分の負担をオーナーが背負うことになります。仮に同じ2か月分の広告料が発生するエリアだったとしても、空室期間を2か月ではなく1か月。もっと言えば2週間くらいで抑えられれば、それだけでも収支は大きく違ってきます。募集広告、写真の手配、修繕・清掃の手配など、事前に出来ることは結構ありますので、その辺で手を抜かない管理会社を見つけておいてほしいところです。

総括 築古物件って本当に買っていいの?

大体のケースでは、止めておいた方がいいものがほとんどです。

やっていいのは、
・安くて腕のいいリフォーム屋さんの当てがある
・入居者募集に強い不動産業者の当てがある
・当面、キャッシュフローがマイナスになる覚悟がある
・出口(将来的な売却)のめどが立っている

という条件がそろった時です。先輩大家さんは皆さん、築古物件の入居募集と修繕には泣かされていますので、この点だけは気を付けてください。

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2K-online事務局

主に日本国内で活動する投資アドバイザー。宅地建物取引士。税理士法人を母体とするコンサルティングファームにて約10年勤務。相続税対策としての不動産活用と、資産形成のための不動産活用が得意分野。2013年から独立し、クローズドの会員組織(階層別)を設立・運営。