富裕層「予備軍」の準富裕層・不動産投資はどうしている?

あなたは「準富裕層」という言葉をご存知でしょうか。
お金持ちである「富裕層」に準じる小金持ちが準富裕層、とでも表現すればよいでしょうか。

実は日本は、世界的に見て準富裕層が多い、と言われています。

それでは、準富裕層とはどんな存在なのか、また、準富裕層はどんな資産運用をしているのでしょうか。
そのあたりの情報をまとめました。

また、実はここ数年で日本国内の富裕層、準富裕層分布に変化が表れています。
鍵は不動産投資です。

アベノミクスによる金融緩和の影響で、日本国内のマネーが不動産投資に流入。
一般サラリーマンの中にも不動産投資を行う人が増え、不動産投資はブームとも言えるほど加熱しました。
中には不動産投資によって蓄財し、「準富裕層」まで成り上がる人も出てきました。

そこで今回は日本における富裕層・準富裕層の現状、不動産投資によって蓄財した新富裕層についてまとめました。

日本の富裕層・準富裕層、どのくらいいるの?

お財布

少し古いデータになりますが、野村総合研究所が、日本の富裕層に関する推計結果を11月18日に発表しました。
同総研では、世帯を純金融資産保有額(※)に基づき次の5つのカテゴリーに分類しています。
各カテゴリーの分布状況は以下の通りです。

分類純金融資産分布状況
超富裕層:5億円以上5.4万世帯 0.1%(累積0.1%)
富裕層:1億円以上5億円未満95.3万世帯 1.8%(累積1.9%)
準富裕層:5000万円以上1億円未満315.2万世帯 6.0%(累積7.9%)
アーッパーマス層:3000万円以上5000万円未満651.7万世帯 12.4%(累積20.3%)
マス層:3000万円未満4182.7万世帯 79.7%(累積100%)

(出典:野村総合研究所 2014年11月18日News Release「日本の富裕層は101万世帯、純金融資産総額は241兆円」より)
※純金融資産:預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命・年金保険などの純金融資産保有額(保有資産の合計額から負債を差し引いた値)

不動産は対象に含まれていないので、不動産長者で金融資産はそれほど保有していない世帯が、恐らく一定の割合でより上位ランクに上がることもありそうです。

富裕層の予備軍「準富裕層」の資産運用の内容とは

ゴールドリング

次にもう少し新しい統計から。
2018年5月18日に総務省(統計局)は「家計調査報告」[貯蓄・負債編]平成29年(2017年)平均結果の概要(二人以上の世帯)を発表しています。

その中で、貯蓄現在高の低い方から高い世帯へと順に並べて5等分にした五分位階級のデータを開示しています。
低い方から第I、第Ⅱ、第Ⅲ、第Ⅳ、第Ⅴ階級と定義しています。

そのデータの中で、「第Ⅴ階級」の平均貯蓄現在高は5397万円、一方で負債は244万円と、それらをネットした金額は5000万円を超えます。

野村総研の金融資産と総務省の純貯蓄現在高は必ずしも同義ではありませんが、ここでは総務省の貯蓄現在高五分位階級での「第Ⅴ階級」を富裕層の予備軍、準富裕層と同義と言えると思います。

では、第Ⅴ階級・準富裕層の貯蓄の中身を見てみましょう。
ここでは全体の貯蓄の中での資産構成の比率をお示しします。

通貨性預貯金:20.8%
定期性預貯金:40.7%
生命保険など:19.3%
有価証券:17.9%
金融機関外:1.4%

こうしてみてみると、いわゆる金融機関での預貯金が60%を超え、金融資産としてのポートフォリオで見た時には安定的に運用されていると見ることができます。
その一方で、有価証券も18%程度あり、リスク資産に対しても積極的に投資をしていることが分かります。

不動産を含めると?

シャンパン

ここまではいわゆる金融資産を見ていますが、富裕層にとっての大事な資産が入っていません。
それは不動産です。
野村総研も、総務省の統計も、今回のデータでは不動産投資の全貌は見えてきません。

事実、サラリーマン不動産投資ブームの影響もあり、不動産投資を通じたリターンを得て、サラリーマン階級が、金融資産5000万を保有するケースが大きく増えました。
わずか3年ほどで「マス層」が「準富裕層」まで成長するケースが多く見られるようになったのです。

不動産は不労所得の要素もありますし、値上がりすれば売却することも可能な資産です。
今後新たな統計で、不動産まで含めた統計が出てくれば、もっと違う日本の富裕層、準富裕層の実態が見られると思います。
日本の「富裕層」の定義も不動産を織り込めばさらに違った姿になるかもしれません。

よくある質問 富裕層と準富裕層の違いは?

ダイヤモンド

Q. とりあえず数字(資産規模)の違いで、富裕層、準富裕層違いはわかりましたが、もう一つイメージしにくいところがあります。
もうちょっと具体的に、富裕層はこんな感じ、準富裕層はこんな感じ、というイメージを教えてもらえないでしょうか。

A. 富裕層の在り方も人それぞれなので一概には言えないところがあるのですが、あくまでも一般的な特徴で富裕層と準富裕層の違いを整理しています。
しつこいようですが、人それぞれなので鵜呑みにしないようにしてください。

純金融資産以外の違いを見てみると以下のような違いがあります。

(富裕層)
富裕層の多くは相続した資産家、大企業経営者などであり、上場企業や非上場の大会社の経営者などは資産に占める自社株式の割合が多いのが特徴です。

あくまでも一般論ですが、先祖代々受け継いできた資産家は、増やすことよりも減らさないこと、リスクをとらないことを志向するようです。
逆に、自分一代で財を築いた資産家はいかに増やすかを志向し、それに見合うリスクをとる傾向があるようです。

(準富裕層)
準富裕層の多くは、高収入の専門家(弁護士、公認会計士、医師、歯科医師)や、外資系企業経営幹部、中小規模企業経営者などが多いようです。

これまた一般論ですが、準富裕層の資産内訳として、金融資産と比べて不動産資産の比率が高いことが特徴としてあげられます。
一代で資産を形成してきている人が多く、代々の資産家と違い、まず住宅を購入するところからスタートしており、住宅ローンなどの負債が残っていることも多いようです。

富裕層と準富裕層の違いは、金融資産の金額だけでなく職業、資産構成にも現れます。
志向性や背景にあった資産形成・資産運用を心掛けたいですね。

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2K-online事務局

主に日本国内で活動する投資アドバイザー。宅地建物取引士。税理士法人を母体とするコンサルティングファームにて約10年勤務。相続税対策としての不動産活用と、資産形成のための不動産活用が得意分野。2013年から独立し、クローズドの会員組織(階層別)を設立・運営。